『Mäntyharjuでのケータリングのお仕事と、 19世紀に造られた年季の入ったサウナで汗をかいて裸で湖に飛び込んだ週末』

北欧 フィンランドからの手紙

先週はケータリングのお仕事でMäntyharjuという、ヘルシンキから北東へ車で2~3時間ほどの、森と湖の美しい地域に行きました。ケータリングのお仕事のお話をくれたのは友達のご両親で、Mäntyharju にパドリングやヨガ、魚釣りやハイキングなど色々なプログラムがあるB&Bを所有しています。友達の両親は元々不動産業や広告代理店の仕事をしていたのですが、早期退職し、かつて製材所だった古い敷地を買い取って、カフェや宿泊施設を始めたのです。四方八方を湖に囲まれて第二の人生を歩む二人の素敵な暮らしはこちらのHPでも見ることができます。

この製材所だった敷地は19世紀中旬に造られたもので、一番古いサウナは1890年頃に造られた、とっても使い込まれた極上のサウナです。『魔女の宅急便』で、独り立ちをしようとしているキキによく使い込んだホウキの方がよく飛べるとお母さんが説得するシーンがありますが、フィンランドでは、年季の入ったサウナの方が良い心地よい蒸気を発し、良い感じに潤った熱気を保つので良いとされている傾向があります。そんなわけで、本当にここのサウナは「気持ち良い」の度合いが全然違うのです。さすが19世紀から愛されているだけある。サウナの中には湖に臨む小窓があり、夕焼けの黄金の光がサウナの中に射します。さながらここは天国。

去年の夏にケータリングのお仕事をもらったことをきっかけに「毎年来てね」とお願いされて、お話があると二つ返事でお引き受けして、メニューの考案や旅の準備に取り掛かります。今回はある企業の夏の合宿のケータリングの仕事をいただいたので、3日間お料理を作ってきました。

1日目のランチはグリーンサラダとパッケリ・アッラ・ウォッカ(ウォッカとクリーム、トマトのソースのウォッカ・アッラ・ペンネのパッケリバージョン)とブッラータチーズを作りました。

上にかかってるのは友達のお母さんのレイラが庭で育てているラベージです。ヨーロッパではよく使われる美味しいハーブで、お料理にまるでベーコンのようなコクのある香りを添えます。

午後は食材探しに庭へ。ばらやタイムのほか、パイナップルウィードという、カモミールに近い野草を採りました。

ディナーは「大皿料理で数人で取り分けられるスタイルで、フィンランドの夏を中心に日本のひねりも少しある簡単に食べられる料理」というご要望をいただいたので、前菜は毎夏作っている花のバターや採れたて人参のヨーグルトと自家製七味唐辛子のソース、メロンとズッキーニのカルパッチョなどを作りました。爽やかな夏の味です 。

メインディッシュは地元の湖で採れた、大きく育った新鮮なクハ(パイクパーチ)を塩だけで味付けしてレモンを添えたグリルした、つまりは焼き魚でした。魚を焼いていると日本の香り〜!と嬉しくなりました。まるで炉端焼き。オレガノとレモンのソースと庭の薔薇を添えて。

デザートはレモンとアプリコットのケーキに、レモンチーズクリームとブラックベリーと抹茶添え。

料理をしている間はずっと、犬のロンッティくんが見守ってくれてました。

仕事のあとはサウナでしっかり汗を流して、しっかり裸で湖に飛び込みました。B&Bはフィンランドの良さを凝縮したような森と湖に囲まれた美しい場所で、優しい家族が切り盛りしてます。

コテージはいくつもあり、朝起きると森と湖が見える窓から射す光がやさしいです。空気が澄んでいるため、8月に行くと夜は星が無数に見えて、流れ星も5回くらい見れてロマンチックですが、今回は7月上旬に訪れたため、白夜でなかなか空が暗くなりませんでした。それもまた良いものです。

撮影時間21時頃。

母屋もすてきで、レイラが集めたアンティークの家具や食器や調度品がたくさん並べられています。一面に湖が見える窓で覆われた部屋がいくつもあり、庭ではたくさんの野菜や花を育てたりしています。

日本人の観光客もたまに訪れることがあるそうです。一年中、誰でもウェルカムということなので、ぜひ機会があったら森と湖に囲まれた穏やかでおとぎ話の舞台のようなこの土地で数日過ごしてみてください。

写真・文 : 吉田 みのり

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