『コンブチャ作りと環境活動家で農家でシェフのヤンネ』

北欧 フィンランドからの手紙

最近、友達からスコービーを株分けしてもらったので、1週間に3回、3リットルのコンブチャ仕込んでます。

今ではすっかり日本でもお馴染みになったコンブチャは、お茶を発酵させてつくる植物性の発酵ドリンクで、乳酸菌などによる発酵過程により生まれる成分や代謝産物が整腸作用や細胞の老化抑制、血行の改善、免疫力の向上などに効果があるという研究結果も発表されています。 自家製コンブチャはとても美味しくて、ついつい毎日飲んでます。ブルーベリーティーを使ったり、柚子緑茶とアールグレイのミックス で作ったりと色々とフレーバーを変えて楽しんでます。

私が初めてコンブチャを飲んだのは7年くらい前。当時は「日本の飲み物でしょ?」なんてフィンランド人の友達に言われて、昆布茶のことかなーと思って買ったら薄い味の酸っぱいソーダでビックリしたのを覚えています。正直そんなに美味しくないのでは、なんて思っていましたが、そのイメージが変わったのは約2年前。

環境活動家で料理人で緑の党の政治家でもある友達、ヤンネのポップアップレストランでランチを食べた夏のことです。ヤンネのお父さんは外交官で、ヤンネは子どもの頃から世界各国を転々として文化や政治を実際に見て成長したヤンネは長い間ヒッピーとして、また政治家として環境保護の活動をしながら老若男女を取り込んだ有機農家やコミュニティー作りを進めてきた人です。その夏はヘルシンキから車で1時間ほどの田舎の村にある古民家を農場兼パーティ会場にして、自分たちの手で育てた野菜や森で採ってきたきのこやベリーや発酵食を提供し、新しい食のあり方や環境問題に取り組むコミュニティのあり方を提案してくれたのですが、そこで飲み放題で出されたコンブチャがシャンパンみたいに美味しかったのです。

見えるでしょうか、美味しすぎてガブガブと飲んでいる状態なのが…!

ヤンネの料理は、優しくて面白い。食べる人のことをちゃんと考えてる。食べる人にも地球にも愛がある。そんなことがわかる食事でした。

7品で30ユーロのコースだったのに、12品くらい出てきたところからもその人柄がわかります。環境活動家兼環境活動家でヒッピー。鋭い政治的感覚や自分だけの強い意見を持ちながらも、物腰は柔らかで話すといつも面白い。そんなヤンネの周りにはやっぱりヤンネのように自由で豊かで面白い人たちがたくさん集まってきます。

ヤンネとビジネスパートナーのテイヤは、ヘルシンキにあるシュタイナー学校の給食を担当していますが、コロナ感染症の拡大で学校は閉鎖中のため、自分たちの農場兼B&Bを開放して若者のワークショップの場を提供したりもしています。

私も去年の春に呼ばれて、大量に採れた豆の消費レシピを頼まれてみんなにどら焼きを教えてきたりしました。

その時に出会ったカイサはハーブを使ったコスメティックや治癒力のあるハーブティーを作ったり教えたりしながらフィンランドを転々とするハーブアーティストでした。カイサのハーブへの情熱と知識は凄まじく、ちょっと話しているだけでぐぐっと引き込まれてしまい、大変な刺激を受けました。

去年の夏はヘルシンキの美術館、Amox RexとのコラボレーションでLasipalatsiの広場でヤンネとテイヤの育てた植物が80箱、青空の下いっぱいに飾られる素敵なインスタレーションが見られました。ヘルシンキのど真ん中に突然現れた小さな森はまさに都会のオアシスのようでした。圧倒されるほどに元気に咲き誇る美しい植物は全て食べられるもの。見ながら手で摘んで食べても良いよ、家に持って帰って挿し木して育てても良いよ、という素敵なコンセプトのアートでしした。多くの人に二人の活動が知られる良い機会で、とても嬉しかったです。

そういうわけで、いつかヤンネたちが作るコンブチャのような美味しいコンブチャが作れるように、日々研究中です。



写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP