フィンランドの人口、政治、ジェンダー平等、教育についての基本情報

北欧 フィンランドからの手紙

フィンランドの幸福度ランキング

フィンランドの人口は530万人ととても少なく、経済規模も小さいですが、一人当たりのGDPなどを見ると豊かで自由な民主主義国として知られ、2014年のOECD(経済協力開発機構)のレビューでは「世界でもっとも競争的であり、かつ市民は人生に満足している国のひとつである」と報告されたそうです。2021年度の世界幸福度ランキングでも世界一でした。

サンナ・マリン政権

2019年末には34歳と世界最年少で首相となったサンナ・マリン首相の誕生でも話題となりました。マリン首相が同性カップルの両親を持つ貧困家庭出身で、かつてはスーパーマーケットのレジ打ちの仕事をしていたこと、またマリン首相をはじめ、現政権の他の連立政権の4党首すべてが女性(うち3人は35歳以下)であることでも注目されました。

フィンランド国内におけるジェンダー平等

2020年版のジェンダー・ギャップ指数ではアイスランド、ノルウェーに次いで世界3位、2019年の世界報道自由度ランキングでは2位、腐敗認識指数は3位と、男女平等の意識の高さ、表現や報道の権利に関して国家による介入の少なさ、政府・政治家・公務員などの公的分野での透明度の高さにおいて世界最高レベルの評価が与えられています。

森と湖の国、フィンランド

また、国土における森林率は73%と先進国の中で最も高く、湖の数は18万以上にも及びます。国連が122か国でおこなった水質調査では、フィンランドは世界第1位の水質を持つことが明らかになりました。自然の中で過ごす時間がとても多いことから、自然を愛する国民性も知られています。

フィンランド人と休暇

福祉大国と呼ばれ、家族や友人と過ごす時間や趣味に充てる時間などの余暇を充実させるべく、様々な公的制度が整備されています。一般的な会社員の場合、勤務時間は8時間、退社時間は16時、遅くても17時まで。夏は白夜でヘルシンキでは21時頃になっても太陽が沈まないため、仕事後に海に泳ぎに行ったりピクニックを楽しむことができます。有給休暇は1年間で1か月。育児休暇に関してはマリン政権によって新制度に改められ、現行の母親計4.2か月・父親計2.2か月から両親にそれぞれ6.6か月の育休取得が認められることとなりました。さらに、妊婦に認められる産休期間は1か月延長されます。

フィンランドが推奨する「生涯学習」の考え方

義務教育から高等教育が無料で、大学や大学院にも学費を大きく負担することなく進学することができます。給食も無料です。昨年11月に書いた記事『人生を自由にデザインする』でも触れたとおり、国民全体に平等な教育の機会と高いレベルの教育を保証することを国家の指針とする「生涯学習」という考え方が根底にあることもあり、大学への入学平均年齢は日本より高い23.5歳。いくつになっても学び直せるという意識が浸透しているため、30歳を過ぎてから大学に入り直したり、大学院に進学する人も少なくはありません。就職活動に年齢の足かせがないため、キャリアチェンジへのハードルが低いことも特徴です。

※この文章はShe isに掲載した記事に加筆・修正を加えたものです。転載の許可は取得済みです。

写真・文 : 吉田 みのり

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