『フィンランドで初めての投票権!フィンランドと日本の立候補者の選挙運動の違いとは』

北欧 フィンランドからの手紙

この冬、突然、郵便で突然届いた選挙権。地方自治体の選挙に参加できる権利を付与されました〜!(選挙権と被選挙権、両方とも)

日本では外国人参政権が現状認められていませんが、フィンランド憲法によればフィンランド国民の他、下記条件を満たした外国人でもフィンランドの地方選挙に参加できます。

①選挙日に満18歳以上

②選挙地の自治体での居住歴が2年以上

私の場合はフィンランドに住むようになって7年以上が経っていますが、最初のビザの取得に時間がかかったこと、そしてヘルシンキ市以外の自治体(ロヴィーサ市)に住んでからまたヘルシンキ市に戻ったことなどもあり、参政権を与えられたのが今年のはじめになってしまいました。

ちなみにこの参政権では大統領選などの国政規模の選挙には参加できません(2018年に行われたフィンランドの大統領選については過去にこんな記事を書いたりしましたが、参加に関しては国籍を取得しない限りは現状不可能です)。

政治や選挙に普段から関心があるので、選挙権が与えられる前から政治にフィンランドの関しては新聞を読んだり候補者のSNSをフォローしたり、多くの友人と話したりして情報収集をしていましたが、参政できるとなると関心もさらに高まります。自分の住む地域の政治に参加できるって、本当に嬉しいですよね。

地方自治体の選挙などが行われる場合にフィンランドの多くの人が使用するのが、フィンランド全域をカバーする公共テレビ・ラジオ局であるYLE(フィンランド国政放送)が作成・提供するVaalikone。名前を直訳すると「選挙マシーン」。居住する地区を記入して次々と投げかける質問に答えると、自分の考えてにぴったりの、または自分の考えと近い考えを持つ候補者や政党を教えてくれるサイトです。

私が初参加を果たせる次の選挙は6月13日、もうすぐ目の前です。先週街を歩いていたら、選挙候補者の一覧が見える掲示板が設置されているのをところどころで見かけました。

こうやって街の中心やいたるところに全員の顔が見られる掲示板があるので、気軽にチェックすることができます。選挙期間中は街の真ん中に各政党のテント付きブースが出現します。テントの中に入ったりそばを通りかかると候補者と直接お喋りしたり、コーヒーやお菓子をもらって質問したりもできますが、今年はコロナ感染症の拡大防止のためにコーヒーやお菓子の配布などをしている人は見かけませんでした。

しかしやはり、テントの前や壁に貼ってある選挙公約を読んでお互いの考え方について話したりできる機会はしっかり用意しているようでした。

フィンランドの選挙期間中は選挙カーなどはなく、街でブースを設置して候補者が常時滞在というのが基本です。コロナ禍以前に友達が選挙に出馬した時は、クレープを焼いて振る舞ったり、本人の顔写真入りの生理用ナプキンを大量に作って配布していました。選挙カーや街頭演説で主張をスピーチする一方通行のスタイルではなく、一対一や少人数で時間をかけて総合的に話を聞いたり質問したりできるという点が、日本とフィンランドの違いかなと思います。候補者の主張や雰囲気もより伝わるし、また候補者と有権者の間にしっかりとした繋がりがあるのを感じられます。政治にもコミュニケーションの基本である「対話」が根付いている印象です。

その場でコーヒーを配ることは控えたものの、やっぱりコーヒーを配りたいフィンランド人のサガか、キオスクでコーヒーが無料でもらえるチケットをもらいました。

フィンランド人の生活の中でのコーヒーの位置づけは以前、『労働者の権利?!フィンランドのコーヒー休憩と残業について』にも書きましたので、ぜひ読んでみてください。

写真・文 : 吉田 みのり

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