ポートランドからの小旅行にぴったり。
ウィラメットヴァレーのワイナリー

北米ポートランドから

2020.12.27

ポートランドから車で1時間。ウィラメットヴァレーはオレゴン州の一大ワイン生産地で、ここで作られるピノ・ノワールはかつて世界1位に輝いたこともあるほど品質が高いことで知られています。エリアには300軒以上のワイナリーが点在し、中には宿泊できたり、レストランが併設され食事ができたりするワイナリーもあり、ポートランドからの小旅行としてもおすすめ。マーケットには出回ることのない希少なワインとも出会えます。

収穫にはまだ早い6月下旬の晴れた朝。わたしたち取材班はウィラメットヴァレーのワイナリー巡りに出かけました。ポートランドから緑に覆われた道に車を走らせていくと、徐々に視界が大きく開けてきます。まず訪れたのが「DURANT VINEYARDS」。小高い丘の上から見渡せるゆるやかな起伏のワイン園はもちろん、オリーブやラベンダーなどの農園、テイスティングルームや宿泊用のコテージなどもある広大な施設でした。
二番目に訪れたのが「WHITE ROSE ESTATE」。ピノ・ノワールのみにこだわったワイナリーで、ぶどう園と醸造をすべて自園で行っている数少ないパターン。元会社経営者であるオーナーは独学でワインづくりを勉強し、全米でも知られるワインプロデューサーとなったそう。丘の上の一等地にたたずむテイスティングルームはワインに集中するため、あえて窓のない暗く趣のある作りの建物となっていました。
三番目に訪れたのが「DOMAINE SERENE」。ワイン専門誌「Wine Spectator」で2018年にNo.1アメリカンピノ・ノワールに選ばれるなど、“アメリカでもっとも称賛されるワイナリー”。建物自体がお城のようで、セレブな雰囲気が漂っていました。

最後に訪問したのが「Stoller」。もともとは七面鳥を飼育する広大な土地だったのですが、疫病が発生したためワイン農園に。オレゴンのダンディーエリア最大の畑面積を誇るだけあり、テイスティングルームからの開放的な眺めは圧巻でした。ポートランドからテイスティングツアーで訪れる人も多い、人気のワイナリーです。わたしたちも何種類かテイスティングさせていだきましたが、どれも美味！　素晴らしい光景を眺めながらゆったりと味わうワインは最高でした。
風光明媚な丘の上にあるこのワイナリーは、「グラビティフロー（電気を使わず重力の力を利用した製法）」を考え傾斜地に建てられたサスティナブルに配慮した設計。重力の流れに沿って、ワイン造りが丘の上から下に向かって進められます。実際に見学をさせていただきましたが、地下室の少しひんやりとした（ピノ・ノワールやシャルドネに最適な温度管理が行われています）場所に、熟成のために数多くの樽が置かれていました。これらのオーク樽はすべてフランス製で、ぶどうに応じて選ばれるとのことでした。また「Stoller」は太平洋岸北西部で最初に太陽光発電を実施したワイナリーでもあります。エネルギーの節約はもちろん、効率的な設計により、環境にやさしいワイン造りが行われています。2006年、建物はワイナリーとしては、アメリカ初のLEED認証（環境に特化した建築物の認証）を取得しています。

ワインで世界的に有名なフランスのブルゴーニュ地方に似た気候で質の高いワイン造りが行われるウィラメットヴァレー。肥沃な土地、涼しくて湿気のある気候。広大な土地ですが家族経営のところも多く、売上よりは質の高さを保つために製造数も限定しているようです。ポートランドから車で1時間ほどで辿り着くので、テイスティングツアーで訪れてみるのはいかがでしょう。各地で環境に配慮したこだわりのワインが味わえます。