#03木靴

スウェーデン ABCブック

製造元:Knulp
モデル名:Knulp AA
色:ナチュラル
材質:革(植物性なめし)、木(フユボダイジュ)
価格:575 kr

木材を用いた靴は世界中にあるが、伝統的にスウェーデンの木靴 Träskor(木の靴)はソール部分が木材で足の甲を覆う部分に皮が使われ、踵部分が開放されているのが特徴。その形状からしばしばTrätofflor(木のスリッパ)と呼ばれる。材料にはハンノキ、ブナ、白樺などが多く用いられる。

暖かくなってきました。芝生を素足で歩く感覚が待ちどおしいですね。と言うわけで、今回のおみやげ紹介はスウェーデンの木靴 Träskor(トレースコール)です。

木靴は世界中にあるものですし、ちょっといかにもオミヤゲオミヤゲしていて、これって実用品じゃなくて飾るためのものなんじゃないの、と思う方もいるかもしれません(ちょっとマトリョーシカ的な?)。しかしこの木靴はもうバリバリの現役日用品です。もちろん現代では、柔らかいソールで、通気性が良くて、より機能的なサンダルを履く人が大多数。ですが、昨今のバック・トゥ・ベーシックなライフスタイルが見直され、自然素材でシンプルな日用品がまた注目されているというのも事実。シンプルな構造の木靴は修理も容易で、ゆえに長く使い込むことで経年変化も楽しむことができます。

なんともいえない美しい佇まい。

作り手によっては柄が描かれていたり、様々な色展開もありますが、やっぱりこの色が一番。

僕が初めてTräskor興味を思ったのはエーランド島にある友人のサマーハウスに滞在した時。訪れた最初の最初、「おじゃまします」の時こそ玄関から入り、靴をぬいだものの、以降、滞在中使ったのは、ほとんどが南側の庭に面した勝手口のみ。朝食、ランチ、フィーカ、夕食、何をするのも庭で陽を浴びながら、となると、出入りは必然勝手口から。しかもそれなら「つっかけ」がベスト。ガシガシ使っても丈夫で、汚れや傷も味わいに思えてくるTräskorがなんとも生活に欠かせないものに感じたのです。このサンダルだと自然との敷居を感じさせないというのかな。

芝生ならたいがいこのまま裸足になるので、靴がどうとか、でもないのですが。

ともあれ、木靴。足を守る道具が必要だ、身の回りの自然素材で作ろう、と思った時、かつての人たちが考えだした答えは世界中どこも同じ。「サボる」の語源になったフランスのサボ(Sabot)をはじめ、世界中にさまざまな木靴があります。スウェーデンでも同じように木材だけで作られた木靴もありますが、最も一般的なのは、ソールに木材、足の甲を覆う部分に皮革を使うスリッパタイプ。生産地で有名なのは昔から南スウェーデン。特にSkåne(スコーネ)地方のVollsjö(ヴォルショー)でしょうか。専門の職人によるものだけでなく、かつては農閑期に家庭で自家消費のために作られもしたそうです。

スウェーデンの木靴と言ってもさまざまなメーカーのさまざまなモデルがありますが、おみやげ、ということで今回紹介したいのはストックホルム中心地にある靴屋さん創業50年のKNULP(クヌルプ)です。ブランド名はヘルマン・ヘッセの小説「Knulp(日本語題 漂白の魂)」からとったとか。創業当時から自家工房での手作りで、植物性のなめし革を使っているのが特徴です。

色はナチュラルが一番人気だそう。

木のソールだけでなく、さまざまな靴も作っています。

ぷっくりとしたかわいいフォルムのものが多い。実は僕がこの作り手を知ったのはこちらがきっかけ。

どこでも手にすることができるTräskorですが、こうした専門店で自分に合ったものを探すというのも旅の一つの楽しみですよね。

<お買い求め先>

Knulpはストックホルム中央駅から歩いて2~3分、Kungsgatan 53(クングスガータン)にあります。営業時間は時々変更があるので、ウェブサイトでご確認されるのがいいと思います。店員さんはみなさん靴マスターですので、色々と相談に乗ってくれますよ。

おまけ

別メーカー(Hasbeens)の木靴ブーツもご紹介。こちらは少し味が出てきました。

Take care. Noritake 

 写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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