#04三寒四温、誕生日会

スウェーデン ABCブック

夏時間に変わり、日照時間も目に見えて長くなってきました。日の出は4時45分。とはいえ薄明るくなるのはもっと早くからなわけで、そしてそれに合わせて外の鳥たちが騒ぎ始めます。僕のiPhoneの目覚まし時計は「小鳥のさえずり」で6時半を設定していて、僕にとっては早起きの設定なのですが、本物と鳥たちに比べれば寝坊もいいところ(そしてたいがい僕はそれでも起きない)。射るような朝日。そろそろバルコニーでの朝食が恋しくなってきましたが、といいつつも、このまま暖かい日々へ一直線とはいかないのがスウェーデンです。三寒四温という言葉はないけれど、ニュースでこの時期よく見る言葉はBakslag。セットバックという意味です。要するに「Bakslag för våren. Snön tillbaka över Stockholm!(春はふりだしに戻る。ストックホルムに雪が戻ってきた!)」というわけ。 

 はらりはらりと。雪のレリーフをバックにパチリと思ったのですが、菊の花だったかも。 

そんな週の幕開けでしたが、そこは三寒四温。雪は積もることもなく、ふたたび春らしい日に。翌日は晴天の中、行きつけのバーバーに。雨の日に床屋に行くことほどつまらないことはないので、ほっと一安心です。それにしても、お互いにマスクを付けつつ、髪を洗ったり切ったりというのはなかなかに不思議な光景です。必然、交わされる話題はやっぱりパンデミックについて。密接接客商売の床屋さんにとっては大事な問題です。彼は週末にワクチンが予約できたと喜んでいました。 

 
日向ぼっこのママたち。僕はバッサリきりたてのうなじに寒さを感じながら、しばしお散歩。 

 
夕刻の王立公園。日本から送られた桜の木が満開に。お父さんの戦いぶりをじっと見る息子。 

さて週末には息子が楽しみにしていた学友の誕生日会がありました。息子が通う保育園には卒園を控えた学年の児童を集めた<Hemliga klubben(秘密のクラブ)>と特別授業(?)があります。年間を通して、彼らだけに与えられた特別ミッション(ハリーという秘密のキャラクターから指令の手紙が届きます)が毎週水曜日にあり、園児のためにチョコブラウニーを焼いたり、ピザ作ったり、演劇を見に行ったり、科学実験をしたりと盛りだくさん。子供たちはこの秘密のクラブ会員であることを少し誇りに思っているところがあって、しかも今年は全員で6人の少数精鋭。全員男の子。というわけでなかなかの結束力。今回はそのメンバーの誕生日会ということで、秘密クラブ、園外で結集です。 


天気はあいにくの空模様。主役の子の家は群島の別の島に住んでいるのでフェリー定期便でいきます。 

スウェーデンではお誕生日会は子供達の定番イベントです。招待者は各自2000円前後のプレゼント(レゴや本が定番でしょうか)を持ち寄ります。パンデミック以前は親御さんを交えて大人数でのパーティーで、手作りのケーキやクッキーなど趣向を凝らしていたのですが、それも一時中止。基本は子供達だけで、外でできることがメインになりました。 

というわけで、親御さんたちは誕生日会の間、退散です。「じゃあ、この島を散策しよう(という案が自然に出てくるあたりがスウェーデンかもしれません。多分ソーシャルディスタンスがなくてもこうしていたかも)」ということで、世間話をしながら1時間ほどお散歩をしました。 

丘を登ってきました。眼下に見える黄色い船が乗ってきたフェリー。 

帰ってくると子供たちはケーキも食べ終わっており、お誕生日もそろそろお開きの時間。 

お誕生日会の最後に、子供たちは決まってお菓子の小袋をもらえるのですが、その方法はさまざま。一番ポピュラーなのは魚釣り形式でしょうか。今回は森に隠された宝探しでした。用意する親御さんも大変です。 

というわけで、三寒四温。朝、着ていく服を選ぶのが難しいストックホルムでした。 

Take care. Noritake


写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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