『春待ちお菓子スウェーデンのセムラ Semla』
最近とみに有名になってきた(ような気がする)スウェーデンのセムラ。このブログを読んでいる人には蛇足になりますが、一応セムラについて解説すると、キリスト教では、イースター(復活祭)前の40日は断食の習わしがあり、断食が始まる前日の火曜日にカロリーの高いものを食べる習慣が生まれ、そのカロリーの高いものは国によって異なり、スウェーデンで食べるのが甘いパンにマジパンと生クリームを挟んだ「セムラ/Semla」というわけです。
一気に長く書きましたが、これでも枝葉末節を刈り取って短く書いています。宗教的な行事は複雑なので、ご興味のある方は、もうちょっと詳しく書いた、デンマークのファステラウンボーラの冒頭をお読みください。ファステラウンボーラはデンマークで断食の前に食べるカロリーの高いものです。
私はセムラは1個でお腹いっぱいになってしまうのに、1回のレシピでは二人家族には多すぎるくらいできてしまうので、今年は作らないつもりだったのですが、夫が「オレは4個食う」と宣言したので、作ることにしました。そんなわけで、なんとか今年のファットチューズデー、つまりカロリーの高いものを食べる火曜日に間に合いました。ファットチューズデーは毎年移動し、今年(2021年)は2月16日。来年(2022年)は3月1日です。
たとえ4個食べる人がいても、オリジナルレシピの12個分は多すぎるので、半分にして6個分にしました。スウェーデンサイズは大きすぎるという方は8個に分けてもいいです。
さすがのスウェーデン人も大きいと思うことがあるのか、スウェーデンには半分サイズのミニセムラを売っているベーカリーもあります。4年前にセムラを食べたこのベーカリーでは、ミニセムラが24クローネってことかな。スウェーデン語が分からないので間違っているかも知れませんが。
オリジナルのレシピよりも砂糖の量は減らしました。スウェーデンでは簡単に手に入るフィリングのマジパンは日本では専門店にしか売っていないので、アーモンドプードルから作るレシピにしています。全体的にスウェーデンよりも甘さ控えめで、日本人向きになったのではないかな。
それでは作り方です。
セムラ
<分量> 6個分
<材料>
パン
・バターまたはマーガリン 50g
・牛乳 150cc
・イースト 3g
・砂糖 35g
・塩 一つまみ
・卵液 ½個分
・カルダモンパウダー 小さじ½
・ベーキングパウダー 小さじ½
・強力粉 200g
・薄力粉 100g
フィリング(マジパン)
・アーモンドプードル 100g
・砂糖 60g
・牛乳 50㏄ 様子を見ながら加減する
仕上げ
・生クリーム 100㏄ ホイップする
・粉砂糖 適量
<作り方>
パン
1.大きめのボウルにドライイーストを入れ40℃くらいに温めた牛乳と溶かしたバター(マーガリン)を加え泡立てで良く混ぜる。
2.砂糖、塩、カルダモンパウダー、卵液を加え泡立てで混ぜる。
3.ベーキングパウダー、薄力粉、強力粉を少しずつ加え泡立てで混ぜ、ある程度混ざったら手に替えて5分くらいしっかりと捏ねる。
4.ボウルにカバーをして室温で45分くらい、あるいは倍の大きさになるまで発酵させる。
5.発酵したら6個に分け丸める。クッキングシートを敷いた天板に並べ、乾いた布巾をかぶせ室温で30分くらい発酵させる。
6.発酵したら表面に卵液(生地に使った残り)を塗り、220℃に予熱したオーブンで10分~13分焼く。
7.焼きあがったらラックに乗せ、冷めるまで乾いた布巾をかぶせる。
フィリングを作る
1.ボウルにアーモンドプードルと砂糖を混ぜる。
2.パンの上部を切り取り中身をくりぬいて、1)のボウルに入れる。
3.2)に牛乳を餡子くらいの固さになるまで少しずつ加える。加えるパンの中身の量によって硬さが違ってくるので、牛乳の量は様子を見ながら加減する。
動画
ヒント
生クリームは絞り袋を使わずスプーンで乗せてもいいです。中力粉があれば中力粉を300g使って下さい。カルダモンは好みで入れなくてもいいです。
さて、最初に書いた通り、二人暮らしには量が多すぎるので、私は食べる分だけ仕上げています。フィリングも混ぜるだけなので、食べる分だけ作るのは簡単。えっと、単純に割ると1個につきアーモンドプードル17g、砂糖10gかな。まあ、神経質にならずに味見しながら適当にどうぞ。
スウェーデン人はこの季節にセムラを4個から5個食べるといいます。セムラはスウェーデンの人にとって長い冬が終わり、春が来ることを感じさせるお菓子でもあります。
ちなみに、マジパンがジャムに変わればフィンランドのラスキアイスプッラになります。お好みでどうぞ。
ところで、昔はセムラをホットミルクに浸して食べていたそうです。今でもセムラにはなぜかスプーンが付いてくるのですが、その名残ではないかと言われました。スウェーデンの友人宅でホットミルクに浸して食べたことがあるのですが…好き好きかな。
三田陽子
北欧ビンテージの買い付けのため年に数回訪れる北欧各国で個性的な北欧料理にはまったのがきっかけになり始めた北欧レシピサイト『北欧のおやつとごはん』。材料は日本で手に入るものを使い、分量も日本サイズに調整して家庭で気軽に作れるように工夫されたレシピが人気。なかなか日本では食べられない北欧の味をお試しください。
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