#06 Z:Zetas(セータス)
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Zetas
セータス
名詞
ストックホルム郊外にある有名ガーデニングショップ。経営者のヴィクトリア・スコーグルンド(Victoria Skoglund)さんはガーデニングに関するインフルエンサーとして広く知られている。
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使用頻度の少ないアルファベットのひとつZ。Sweden A-Öの名のわりには少しローカルな話題になるが、ストックホルムの有名ガーデニングショップZetas(セータス)を取りあげよう。
正面入り口。直線的でシンプルなファサードをもつ建物は日本やフィンランドの影響を受けて作られたという。
ストックホルム郊外、世界中のIKEAの中で最大の床面積を持つ旗艦店があるクンゲンスクルヴァ(Kungens kurva)にZetasはある。ストックホルム界隈のガーデニングに興味がある人でこの名前を知らない人はいないのではないだろうか。それはオーナーのヴィクトリアさんによるところが大きい。これまでに3冊の著作があり、テレビや雑誌に自身のコーナーを持つほか、自身でもSNSで発信をつづけている。Instagramでは現在22万人のフォロワーをもつ、ガーデニング界のインフルエンサーだ。
Zetasの歴史は古く、前史を含めると1927年まで遡る。元々は個人のアマチュア庭師だったヨースタ・セッテルクヴィスト(Gösta Zetterkvist)氏が自身の庭で余分に取れた植物を柵の外に置き、無人販売的なやりとりを周囲の住人としていたというのがはじまりだ。当時としてはめずらしい東洋風の庭、そしてそこで育てられたセッテルクヴィスト氏の植物の評判はひろがり、1960年には本職だった活版印刷の仕事をやめ、植物販売に専念。この頃からセッテルクヴィストの名前からセータスと呼ばれるようになったという。
園内に併設するカフェの横には今もセッテルクヴィスト氏が使っていた古い小屋がある。
その後、1973年、庭設計士のフォルケ・マットソン(Folke Mattsson)氏をアドバイザーに迎え、増え続けていた顧客に対応できるようになったが、1975年に引退。マットソン氏に完全に経営を譲渡した。現在のオーナー、ヴィクトリアさんはマットソン氏の娘である。
ヴィクトリアさんの経営になってからは、ガーデニング用品や家具などの取り扱いが増え、2000年には園内にカフェをオープン。一段とライフスタイル提案型のショップになったことで一段と人気を博することになる。
ショップ全体のスタイルとしてはシンプル目のシャビーシックだろうか。竹、籐、木などの天然素材に錆びのある金属、コンクリート、リサイクルプラスチックなどが合わせられ、控えめの色合いが植物たちを引き立てる。
そういえば、ヴィクトリアさんの言葉で、ガーデニングのデザインのコツに「高さをだすこと」というのがあった。色々な高さを持つ植物を配置したり、植物で壁を作ったり、またはつる植物を天井まで這わせたりすることで、空間にメリハリがつくと同時に、自然の中に身を置くような感覚をつくることができる。確かに、どのような生活の場面で、どのような植物と接する(接したい)のか。そうしたことを考える時に、高さ、というのはとても重要な要素だ。食事の時とソファーで本を読む時は目線の高さが変わってくるのだから。
訪れた日はあいにくの空模様(カフェのテラス席で仕事をしていたのだが、しまいには雨にふられて退散)だったので、少し寂しい写真になっている。ぜひ店名ZetasもしくはVictoria Skoglundさんの名前で検索し、彼女の世界をのぞいてみてほしい。
行き方
Zetas Trädgård
Blombacken 2
141 70 Segeltorp
ストックホルム中央駅から地下鉄(緑ラインまたは赤ライン)でスルッセン(Slussen)へ。
スルッセンから地下鉄(赤ライン)でフルーエンゲン(Fruängen)で下車。
707番のバスに乗り換えイェーゲルホーンシュヴェーグ(Jägerhorns väg)で下車。
おまけ(今回の個人的なお目当てについて)
Blåklint(ブロークリント)。矢車菊。僕が小学校一年の時に初めて自分で育てた思い出の植物。庭のどこかに咲かせたいと思っている。
Hortensia(ホーテンシア)。紫陽花。アナベルという名を持つ種類。白の他にピンクやルビーもある。一つ一つの花弁(正確にはあれは<がく>らしい)が他のアジサイに比べて小さく、大きくて丸いふさになるのが特徴。友人宅で一目惚れした種でぜひ生垣にしたい。注:ちなみに中央に写っているのはサンゴミズキの一種です。
生垣のもう一つの候補がこちら、Syren(シレーン)。ライラックだ。この季節に一斉に花を開かせ、あたり一面をあの香りにしてくれる。僕にとって春といえば沈丁花、夏といえばライラック(もしくはジャスミン)。Zetasには7種類あり、どれにするか悩むところ。
そしてLavender(ラヴェンデル)。ラベンダー。香りの良さもさることながら、バルコニーの蚊除けとしても期待して。
Take care. Noritake
写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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