#30 古都シグチューナのクリスマスマーケット
スウェーデンに来るまでまったく知らなかったクリスマスの習慣のひとつにアドヴェント(Advent)があります。西方教会の慣わしで、12月24日からさかのぼる4つの日曜日をふくんだ期間をこう呼びます。ラテン語のアドヴェントゥス(Adventus)からきているそうで「キリストの到来」という意味だそう。
四つの日曜日をそれぞれ、第一のアドヴェント〜第四のアドヴェントと呼び、4本用意されたロウソクにそれぞれ火を灯していきます。
そして、この4週間、週末は街のあちこちでクリスマスマーケットが開催されます。前置きが長くなったけど、今回はそのお話。場所は首都ストックホルムが発達する前の古都シグチューナ(Sigtuna)。そのクリスマスマーケットに行ってきました。
ストックホルム中心地から北におおよそ50kmにあるこの小さな町はバイキング時代(750〜1100年)の終わりごろに作られ、13世紀末まで王室、教会、商業の中心地として栄えました。
ここがシグチューナの目抜き通りストールガータン(Storgatan)。大通り、という意味ですが、じつにかわいらしい通りです。実は10年以上前、僕はこの町に2年間住んでいたことがあり、この「大通り」を毎日のように歩いていました。テナントのいくつかは変わってしまっていたけれど、建物や樹々が作りだす景色はなにも変わっていない。それってすごいことです。
スウェーデンの児童文学作家であり画家でもあったエルザ・ベスコー(Elsa Beskow)の物語「グリーンおばさん、ブラウンおばさん、グレデリンおばさん(Tant Grön, Tant Brun och Tant Gredelin)」に扮したモデルさんたち。エルザは若いときシグチューナに住んでいたことがあり、そのときの思い出からこの物語が生まれたのだとか。
食べ物はマーケットの楽しみの大事な要素のひとつ。アーモンドキャラメリゼの甘い香り。
こちらはニシンのオープンサンド。熱々を、と言いたいところですが、この日の気温はマイナス12度。あっという間に冷めてしまいます。
工芸品のお店も並びます。
こちらは町主催のロトくじ。
窓辺のデコレーションにリサ・ラーションを発見。
それにしても、大変な賑わいはゆっくり見て回れないほどでしたが、懐かしの街を歩けて、何はなくとも温かな気持ちになった1日でした。
今回はこの辺で。
Take care. Noritake
写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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