宇和島プロジェクト生産者インタビューVol.2(商品の魅力・今後の展望)

日本のこと

【宇和島プロジェクト】の発起人である木和田権一氏 。
愛媛県宇和島市で水産業の生産・加工・流通・販売分野で幅広くご活躍されてます。
今回は、第二弾として商品についての詳しいお話や、これからの展望をインタビューさせていただきました!

目次

宇和島プロジェクトの商品の魅力

宇和島プロジェクトの商品は気になるものばかり。偶然生まれた商品の魅力についてもう少しお話を聞いてみました。

Q:みかん鯛やフルーツフィッシュという名前になった所以をお聞かせください。

みかんと魚をただ単純に合わせただけです(笑)
みかんブリも同様で、チョコブリもただ語呂が良いから付けただけなんです(笑)
それをトータルでフルーツフィッシュにしたらかっこいいかなということで、フルーツフィッシュにしています。 

Q:みかん鯛は餌にみかんの皮が混ざっているということですが、具体的にどのような製造過程なのですか? 

では、こちらはスタッフの奥村から説明させてください。 
(奥村さん)
愛媛県は柑橘類の生産量が1位2位を争うと思います。
柑橘の加工品としてジュースやゼリーを作るときに搾汁をされるんですね。 その柑橘類の搾汁した皮を今までは廃棄していました。その廃棄量が多くなっているので、どこかに活用できないかということで。

Q: みかんの皮を餌に混ぜているのですか?

(奥村さん)
ジュースやゼリーに使われた、みかんの皮・搾りかすをそのまま餌に混ぜ込んで鯛に与えているんです。
やはり夏と冬では鯛の餌の食い付きが全然違くて!
みかんの皮が入っていると、鯛も食べづらいようで冬は餌の食い付きが悪くなるんです。
なので冬になると伊予柑オイルという、柑橘のリモネンの成分を抽出したオイルを餌に混ぜ込んで与えています。 

Q:どのぐらいの期間、みかんの皮を食べ続けて出荷されるのですか?

これは魚によって全く変わります。
みかん鯛だと3ヶ月以上、みかんブリだと1ヶ月半以上必要になってきます。
ただですね、養殖は太らさないとお金にならないんですけど、みかんの皮とかみかんのオイルを入れた途端、養殖の魚って太らなくなるんです。 

Q:鯛はなかなか時間がかかるんですね。実際に販売に至るまでに結構時間はかかりましたか?

はい。めちゃくちゃ時間はかかりましたね。
初めは、3ヶ月、4ヶ月ぐらいで香りが付くと思っていたところが、全くつかなくて。
ある日突然、8ヶ月ぐらい経ったときに生産者から連絡があって、「この鯛食べてみて」ということで食べてみると、「みかんの香りがする!」という話で(笑)

宇和島プロジェクトの展望

試行錯誤を重ねて商品を開発してきた宇和島プロジェクト。今後の展望についてもお話を伺いました。

Q:今後の展望や課題はありますか?

実は去年、漁業法の改正がありまして。
農業だったら、畑を量販店さんや外食産業が持つことはすでにやられているんですけど、漁業の世界では、漁業権などの関係でなかなか難しかったんです。

Q: 漁業法の改正でどんなことができるようになったのですか?

私は今「お魚バンク」と呼んでいるんですけど、この餌でこの稚魚で、こういう形の魚を育ててくださいっていうことが出来るようになったんです。

Q: 作業は生産者に任せられるのは良いですね。

これを今、我々は結構推進していまして。
今ではタブレットで魚の餌の様子などを見られる技術もあるんです。
日本は養殖の技術はとびきりあり、愛媛県も実は魚類養殖の日本一の生産地なんです。
その中でも愛媛県の鯛の養殖は、全国で57%のシェアを占めているくらい養殖の技術はあるんです。

Q: 養殖技術があると生産者も導入できそうですね。

私も水産の世界に入って25年ぐらい経ちますけれど、もうみるみるうちに生産者が減っているのが悲しい現状で。 それはやっぱり餌代と稚魚代で結構お金がかかり2年後にしか実にならないので…。

Q: 養殖で何か進めていることはありますか?

量販店さんとか外食さんへ、 「1筏からでも自分たちのファームが作れます。そこに関して餌をやったり魚をしめたり出荷したりするのは、養殖の生産者に任せてあげてください。その分だけ委託料を下さい。」ということを進めています。

Q: 今後どんなことが可能になりますか?

例えば、会社の社食で使用する自分たちの魚を育てたいということであれば、こっちで育てることも可能になってくるんです。
そして我々産地からしたら、アフターコロナには、その会社のスタッフの方々にどんどん来ていただいて、餌やりをしてもらったり、地元で魚を食べたりという交流ができるのであろうということで、実際に進めています。

宇和島市のため、温かい地域へ貢献

愛媛県の宇和島市でのプロジェクトですが、地域に対しての活動や宇和島市の魅力についても語っていただきました。

Q:地域への貢献など現在やられていることはありますか? 

宇和島市だけでいうと、1年間に1,000人もいなくなっているんですね。
ただ愛媛県の宇和島は養殖業が盛んで、みかんもかなりあるんです。自然に恵まれていて、だから水産を起点にした観光業とか、こちらに移住というのをやりたいなというのは思っています。

それとちょっと余談になるんですけど、スタッフの奥村も静岡の出身なんです。

Q: 奥村さんは静岡県のご出身なのですね。

彼女の実家は、静岡で干物の製造から販売まで行っている会社を経営されていまして。
大学に通っていたんですけど、静岡に帰るとどんどん干物屋さんがなくなっていってるそうです。
地域をなんとかしないといけないということで、「私は後を継いで3年〜5年後に地元に戻る」とういうことで、うちの会社に修行に来ているんです。

Q: 地元の地域のために、素晴らしいですね。

そういう人たちであったり、産地や地方をなんとかしたいという方々が、こっちに来ていただいて。
ただそのためには産業とか働く場所を提供しないといけないので、商品を開発して売り出すという創造商社を今、作ろうとしています。

Q: 新しいプロジェクトも進めているのですね。

来年の4月からは、中心街に新しい3階建てのビルを作って、1階と2階を加工場で3階を事務所にするんです。
そういう形で水産を起点にした色々なチャレンジができる会社にしていこうと思っています。

宇和島市は魅力が満載

静岡県から技術を学びにきている奥村さんに宇和島市の魅力について語っていただきました。

Q:愛媛県や宇和島市にどのような魅力があるかについてお客様にお伝えしたいのですが。

宇和島はいわゆる田舎なんですけど、やっぱり何がいいかっていうと、とにかく魚が美味しい!
これは、私がこっちに来て本当に驚いていて。
私の地元の静岡ももちろん漁港も近いですし、魚の鮮度は良いと思っていたんです。 それにしても全然違っていてすごく驚きましたね。

Q: 宇和島市に住んでみてどうですか?

宇和島は南予になるんですけど、地域の方々ってすごく温かくて。
こっちに来てから初めて1人暮らしを始めたので困ることが多かったのですが、周りの方がすごく助けてくれて、すごく安心できる「第二の故郷」みたいな感覚があります。
誰が来ても温かく、受け入れてくださる地域性があるのかなと思いますね。

養殖の技術は海外でも

日本のみならず、海外でも技術を広めていきたいと話す木和田氏。
最先端な技術を駆使していくようです。

Q:木和田さんからここはぜひお伝えしときたい!ということはありますか?

現在日本国内だけで商品を作っているのではなくて。
コロナ前にはインドネシアとかベトナムで、養殖の技術を教えてくれという声が、めちゃくちゃあって。 それを我々がコーディネーターとしてやろうとしていたんですね。

Q: 海外でも養殖の技術を教えているのですね。

ただそれは作るだけで、付加価値をつけるには工場が必要で。 
今度新しい工場を作るんですけど、それは我々が蓄積した工場運営の中で最新鋭の工場なんです。コロナが落ち着いたら、見にきて欲しいんですけど。 
まずは宇和島発信のものを世界に広めようとしています。

Q:タブレットで餌やりをするシステムが気になりますね。自動餌やり機みたいなものがあるんですか?

自動でタブレットを見ながら餌をやることもできるし、魚が餌を食べているかも動画で見られるんです。
量販店さんにタブレットを置いて、「この魚がこのお店に並んでいます。」というリアルとDXがミックスされたことが出来るんです。

とても夢の膨らむお話をたくさんありがとうございました!詳しくなった上で食べると、美味しさがより一層際立ちますね。

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