『スーパーでの画期的なハーブの売り方』
フィンランドのスーパーでは、たいていの場合はハーブは苗ごと売っている。バジル、ローズマリー、パクチー(コリンアンダー/香菜/シアントロ)などなど、ふさふさの植物が苗ごと土付きで買えるのは、はじめは豪快な感じさえしていたけれど慣れると便利で良い。一度買ったら何日かは新鮮なハーブがいつでも摘みたてで味わえるし、夏場は水やりしたり庭などのプランターに植え替えればそのままハーブを育てられることができるのも良い。
でも冬の場合は太陽が全然姿を見せないため、特別な照明が家にない限りハーブを育てることはかなり難しい。なのでハーブを苗ごと買っても、料理に使って数日経てばそのうち土ごと捨ててしまう。その時に土と苗が入った、鉢の役割をしているプラスチックの容器や、苗を覆うプラスチックの袋を一緒に捨てなくてはならないのだが、それが本当に心苦しい。そもそもハーブが買いたいのに、いちいちそれを包む容器がプラスチックなのが嫌だった。そんな矢先、最寄りのスーパーマーケットでのハーブの売り方が突然変わった。
といっても、もう1年弱前のことだけれど。このスーパーマーケットでは、壁一面が太陽光のように強い光を放って植物を育てられる照明になっていて、そこに何種類かのハーブが苗ごと設置されている。
買う人はそれぞれ土のままで棚に並んでいる苗の中から、好きなハーブを棚から選んで紙袋に入れてレジまで持ち運ぶだけ。プラスチックの過剰包装がなくなり、また明るい照明の下でニコニコと微笑みながら育つハーブが並ぶ棚が店内の入り口にあるのはフレッシュな気持ちになって良い。
この棚と照明のサービスは友達が勤める会社が始めたもの。この会社の活躍で、レストランや市の施設など様々な建物で緑がどんどん増えて、フィンランドがさらに明るく、そして緑いっぱいになったという。
冬はこのシステムでハーブを買うけれど、夏は太陽がいっぱいなので自分たちでたくさんのハーブを育てている。
本当にたくさん生えるので料理にハーブをふんだんに使うことにもだいぶ慣れてきた気がする。
「ハーブ、どんなふうに使えばわからないな」という人には、とりあえずミートボールのタネにたくさん刻んで入れることをオススメしている。
バジルでもタイムでもミントでも美味しい。びっくりするほど入れても、ちゃんと美味しい。
そのミートボールをパスタソースにしても間違いない!その感覚でスープやオムレツにも。
冬に買うハーブも良いけれど、やっぱり自分で植物を育てたり森で野草を摘んだりできる春や夏が恋しい。
春の訪れを告げる、最初の美味しい野草は4月のはじめ、毎年決まってNokkonen(セイヨウイラクサ)かVuohenputki(イワミツバ)だ。それらが見えたらハーブの種を蒔く準備を少しずつ始めたり、家の中で育て始めたりできる。そわそわ、もうすぐ。
写真・文 : 吉田 みのり
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