『世界一汚い海?バルト海の環境汚染問題』

北欧 フィンランドからの手紙

先日、TBSラジオ『アシタノカレッジ』にちょこっと出演し(ご縁があって5回目の出演でした。いつもお声がけありがとうございます)、世界一汚い海といわれるバルト海の汚染問題についてお話する機会がありました。 

バルト海は西岸にスウェーデン、東岸は、北から順にフィンランド、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア、南岸は、東から西にポーランド、ドイツ、デンマークと多くの国に囲まれた海です。私の住むヘルシンキなど南フィンランドに沿って細長く広がるフィンランド湾はバルト海東部に位置します。フィンランドの夏休みといえば、海でセーリングをしたり、ジェットスキーを楽しんだり、泳いだりと海で遊ぶ機会が一気に増えますが、その海は実は世界で一番汚いといわれるバルト海につづくフィンランド湾なのです。

なぜバルト海は世界で一番汚染が懸念されている海といわれるのでしょうか。その理由は主に4つあります。 

1. バルト海の面積は40万平方km、平均深度は55mと浅く、特にオーランド諸島付近やボスニア湾北部の水深は非常に浅い閉鎖性海域であり、海水が滞留しやすく水の入れ替えが少ない。このため、周辺の汚染物質も滞留しやすく、1950年代より徐々に環境が悪化し始めた。 

2. バルト海は内海のため、海況が穏やかであり、また対岸までの距離も短いため、古くより海上交通網が発達している。現在も貿易船の来航も多いほか、運会社の運航するフェリーなどの大型船舶が出航しており、世界でも有数の会場交通網が海の汚染の一つとなっている。 

3. バルト海は流入河川が多いこと、また流れ込む淡水量が多いことから汽水域となっており、海水の循環が少ないため、特殊で生態系を持つ。富栄養化が進みやすく、生物多様性が減少する傾向にあり、温暖化などの気候変動の影響を受けやすい。 

4. バルト海の沿岸漁業活動は海の大きさに対して非常に活発で、フィンランド、スウェーデン、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ドイツ、デンマークと9か国の漁業者の生計確保の拠点となっているが、その活発な漁業活動が海の資源崩壊を招いている。 

長年にわたって海洋汚染対策に頭を悩まされてきた9か国ですが、近年は国際協力によって状況の改善を試みるという方向で一致団結した取り組みを行っています。バルト海における汚染、気候変動、酸性化、過剰漁獲、生物多様性の損失による悪影響を克服するために、共同研究開発プログラムなどが継続して発足し、長期に渡って多国間で協力し合うことで環境問題解決の効果が期待されています。 

文 : 吉田 みのり

 

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