『スウェーデンのビーツ入りリンドストロームハンバーグ Biff à la Lindström』

北欧のおやつとごはん

レシピの話の前にこの料理について少し。ビッフ ア ラ リンドストロームは19世紀に生まれと言われている、ビーツとケイパーが入ったスウェーデンのハンバーグです。メニューの誕生には諸説あり、どれが本当なのか分かってはいませんが一番有力な説としては、ロシア生まれのスウェーデン人、ヘンリック・リンドストローム中尉(1831–1910)が1862年にカルマルのホテルウィットに宿泊したときにロシア風の料理を食べたく厨房に注文して作らせたという逸話です。そのホテルウィットでは今でもビッフアラリンドストロームがメニューにあり、食べることができます。

さて、『北欧のおやつとごはん 1』ではつなぎ無しの肉々しい食感のハンバーグでしたが、もうちょっと柔らかい方が日本の人の好みではないかなと手元にある70年代のレシピ本を開けると茹でたじゃが芋をタネに加えたレシピがありました。

茹でじゃが芋、と不思議に思われるかも知れませんが、スウェーデンではミートボールに混ぜることもあり(IKEAのミートボールにも入っています)珍しくはありません。調べるとホテルウィットのレシピもつなぎにじゃが芋を使っていたので、原点に戻る感じかな。じゃが芋を入れる分、肉の量を減らすなど、レシピ全体を見直しました。美味しく出来たので、レシピをご紹介します。

また、ビッフ ア ラ リンドストロームはしばしば目玉焼きを乗せて供されます。今回は一人分小さなハンバーグ2個にしていますが、大きなハンバーグ1個にして目玉焼きを乗せてもいいです。

<分量> 4人分

<材料>
・牛ひき肉 450g
・卵 1個
・玉ねぎ ¼個
・ビーツ酢漬け 80g
・ケイパー 大さじ2
・じゃが芋 100g
・ビーツの漬け汁 大さじ4
・牛乳 50㏄
・塩 小さじ1
・コショウ 少々

<付け合わせ>
・じゃが芋 お好みの量
・お好みの茹で野菜

<作り方>
ハンバーグを作る
1.じゃが芋は水から茹でて皮を剥く。このとき付け合わせ用のじゃが芋も一緒に茹でておく。

2.タネ用のじゃが芋をみじん切りにする。玉ねぎはみじん切りにする。

3.ビーツを5mm角くらいに小さく刻む。ケイパーは粗く刻む。

4.ひき肉に塩、コショウ、卵を入れて良く混ぜる。

5.残りの材料を全て入れて良く混ぜ合わせる。タネを少し取って、電子レンジで加熱するかフライパンで焼いて味を確かめ、必要なら塩コショウを足す。

6.タネを8等分して平たい丸に成形する。(1個100gくらいになります。)

7.フライパンを熱しバターとサラダ油を半々くらい入れる。中火にして両面それぞれ4~6分焼く。

8.一人2個ずつ皿に盛り、付け合わせの野菜を添える。好みでビーツの酢漬けも添える。

<付け合わせを作る>
1.付け合わせの茹でじゃが芋一口大に切る。くし形、キューブ型、輪切りなど好きな形でどうぞ。

2.フライパンにやや多めのサラダ油を熱し、じゃが芋を色よく焼く。既に火が通っているので、焼き目を付けるだけでいいです。

<動画>

<ヒント>
卵白が余らないように全卵を使いましたが、オリジナルレシピは卵黄2個です。ですので卵黄だけで作ってもいいです。ハンバーグを焼く前に付け合わせを先に作って、フライパンをきれいにしてハンバーグを焼くと効率的でしょう。バンズに挟んでハンバーガーにしても美味しいです。

味がしっかりと付いているので、ソース無しでも美味しいです。

我が家は2人家族なので、半分は冷蔵して翌日に目玉焼きを乗せて食べました。

スウェーデン発祥のお料理ですが、今や北欧各国でも作られていて、私はスウェーデンだけでなく、フィンランドでも2回食べました。というか、スウェーデンで食べたのはスーパーのお惣菜だったから、ちゃんとレストランで食べたのはフィンランドだけです。

1回目はキアズマ(現代美術館)のカフェ。英語メニューにビーツ入りハンバーガーとあったので、これがビッフアラリンドストロームだと気が付いたのは食べ終わってからの事。目玉焼きとヤギチーズを乗せてハンバーガーになっていました。美味しかったな。

2回目は行きつけの小さなレストラン(残念ながら既に閉店)で。フィンランド語ではLindströminpihvi(←発音が分かりません)。小さ目が3個に、フィンランドらしく万能きのこクリームソースとマッシュポテト添えでした。

歴史の長い料理に良くあるように、現在、リンドストロームハンバーグのレシピは様々。先に書いた通り、つなぎを使わないレシピもあります。ビーツとケイパーは必須ですが、ピクルスやアンチョビやマスタードを入れるケースもあります。牛だけでなく豚のひき肉を混ぜる人もいます。ビーツと挽肉の割合も決まりはありませんが、ビーツを入れすぎると焼いている最中に崩れてくるのでご注意下さい。仕上げはフィンランドで食べたように、チーズやクリームソースと合わせてもいいでしょう。

ビーツには健康に良い栄養がたくさん含まれていて、食べる輸血と呼ばれるとか。いつものハンバーグに飽きたらぜひ作ってみて下さい。ビーツの栄養が美味しく取れます。



三田陽子
北欧ビンテージの買い付けのため年に数回訪れる北欧各国で個性的な北欧料理にはまったのがきっかけになり始めた北欧レシピサイト『北欧のおやつとごはん』。材料は日本で手に入るものを使い、分量も日本サイズに調整して家庭で気軽に作れるように工夫されたレシピが人気。なかなか日本では食べられない北欧の味をお試しください。

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