『フィンランドのクリスマスのパイ菓子ヨウルトルットゥ Joulutorttu』

北欧のおやつとごはん

キリスト教国にとって1年で一番大切な日、クリスマス。国によってクリスマスのご馳走は異なりますが、どの国もここぞとばかりに贅沢な料理を並べるのはお決まりです。北欧の国々ではクリスマスの甘いものと言えばジンジャーブレッドとミルク粥が伝統。寒さの厳しい北欧各国では、南の国で栽培されるスパイスやお米は贅沢なものでした。

北欧各国でそういった共通のクリスマスデザートがある一方で、それぞれの国の個性的なお菓子もあります。例えばデンマークのエイブルスキーバー、スウェーデンのルッセカット、そしてフィンランドのヨウルトルットゥ。フィンランド語でヨウルはクリスマス、トルットゥはバター生地のこと。ヨウルトルットゥはプラムジャムのフィリングを包んだパイ菓子です。

フィンランドではスーパーで生地もフィリングも出来たものが売っているので(それどころか抜き型まで売っている)家庭で手軽に作るお菓子ですが、私たちはそうはいかないので生地もフィリングも一から作りましょう。もちろん、市販のパイ生地でもいいのですが、フィンランドの人に教わったフレッシュチーズが入ったレシピが美味しかったので、それを元に日本で手に入る材料と分量に置き換えました。パイ生地というと難しそうなイメージがありますが、生地の間に薄く切ったバターを乗せて何度も折る折りパイと違って、これは最初から生地にバターを入れ込む練りパイなので想像よりもずっと簡単です。

それでは、レシピです。

<分量>
12個分

<材料>
・バター 125g (有塩でも無塩でもOK) 小さく切って冷蔵庫で良く冷やしておく
・薄力粉 100g これも冷やしておくと良い
・ベーキングパウダー 小さじ1
・※フレッシュタイプのチーズ 100g 今回はマスカルポーネ
・種無しプルーン 200g
・(仕上げ用)粉砂糖 適量

<作り方>

1.ひたひたのお湯でプルーンを3分ほど茹でる。プルーンが柔らかくなったら、お湯を少し残して捨て、ブレンダーなどでペースト状にする。

2.薄力粉とベーキングパウダーを混ぜたものに、小さく切ったバターを入れ、指先でポロポロのパン粉のような状態になるまでつまむように混ぜる(捏ねないこと)。

3.2)にチーズを入れ、ヘラなどで混ぜる。ここでも捏ねないこと。

4.打ち粉を振った台の上に生地をあけ、粉を振り、ローリングピンで叩くように伸ばす。

5.伸ばした生地を三つ折りして90度回転して伸ばし、また三つ折りして90度回転して伸ばす。これを6回くらい繰り返す。ベタベタした扱いにくい生地ですので、こまめに打ち粉を振るか、途中で冷蔵庫にいれて冷やしても良いです。

6.生地をビニール袋に入れ、冷蔵庫で30分以上冷やす。ここまでを前日にしておいても良い。

7.冷蔵庫から生地を出し、打ち粉をした台の上で24cm×32cmの長方形に伸ばす。少し大きめに伸ばして端を切り落とすときれいです。


8.8cm角の正方形12個に切り分け、それぞれの生地に対角線に切り込みを入れる(中央は残しておく)。


9.中央にプルーンジャムを大さじ1杯分くらい乗せて、風車の要領で星の形に折る。中心は離れないように水をつけた指先で軽く押さえておく。


10.こちらは折り方を変えた天使の形。


11.220℃に予熱したオーブンで10~15分、いい焼き色になるまで焼く。冷めたら粉砂糖を振る。


<動画>

<ヒント>
※フレッシュタイプのチーズとは乳に乳酸菌や酵素を加えて固めた熟成させないチーズのことです。
オリジナルのレシピではクワルクを使っていましたが、日本では簡単には手に入りません。代用として、裏ごしタイプのカッテージチーズ、リコッタ、マスカルポーネ、フロマージュブラン、クリームチーズ、サワークリームなど手に入るチーズをお使いください。
水切りヨーグルトでも良いと言われたので、ギリシャヨーグルトでもいいかも知れません。
今回は比較的お手頃な価格で、近所のスーパーでも手に入る、マスカルポーネにしました。

生地に甘みがないので、フィリングをやや多めに、粉糖をたっぷり振りかけた方が美味しいです。

伝統的な星の形。別名、手裏剣。

今では様々な形のバリエーションがあります。こちらは星と同じ切り込みで作ることが出来る天使の形です。簡単なのにかわいい。

切り落とした端には粉チーズを振って、塩味のお菓子にしました。

気温が高いと生地がべたべたになってうまく出来ません。暖房を切って寒い部屋で作ってくださいね!



三田陽子
北欧ビンテージの買い付けのため年に数回訪れる北欧各国で個性的な北欧料理にはまったのがきっかけになり始めた北欧レシピサイト『北欧のおやつとごはん』。材料は日本で手に入るものを使い、分量も日本サイズに調整して家庭で気軽に作れるように工夫されたレシピが人気。なかなか日本では食べられない北欧の味をお試しください。

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