高校で美術を教えていた女性が開業した
ネイバーフッドアーティストの店
ポートランドには、ファーム・トゥ・テーブルをはじめとする「地元愛」の精神が息づいています。それは「食」だけではなく、市民同士の付き合いもそう。自由で寛容な雰囲気の中で暮らすポートランダーたちは、隣人同士(ネイバーフッド)の小さなコミュニティを大切にしています。「スープの冷めない距離」で、フレンドリーな仲間たちが集うこともしばしば。
インテリアショップ「マンテル」は、そんなアーティストたちのネイバーフッドコミュニティが形成されつつあるケントンという街に、歴史的な建造物を改装してオープンしました。「ジャンクヤードで見つけてきた廃材を利用して、主人もリノベーションに協力してくれたわ」とオーナーであるカレン・マクルランドさんは語ります。「マンテルを創業したのはアーティストたちの作品とその創造的なプロセスを祝福するための場所が必要だと思ったからなの」。10年におよぶ高校での美術教師としてのキャリアの後、学生たちが陶芸家として育つように手助けをしてきたカレンさん。デザインとクラフツマンシップに対する確かな見識眼で、ホームウェアとライフスタイルプロダクトをキュレーションしています。「マンテル」という名前は当時9歳だった息子さんが名付けたそうです。
「マンテル」には、モダンな陶器やジュエリーからミッドセンチュリーのラジオをリビルドしたものまで、多岐にわたる作品が置かれています。「ポートランドは若い人たちが移住しやすく、クリエイティブなことをやりやすい街。わたしは近くに暮らす彼ら=『ネイバーフッドアーティスト』たちをオーガナイズしているの。モダンな現代の生活にあった陶器がなかったのでキュレーションしているのよ」とカレンさんは語ります。「10年間、美術を教えていたんだけど、徐々に自分の中でインスピレーションが必要になってきたの。そして自分の経験を出すようなお店を始めることにした。わたしは、インテリアスタイリストが“ただ『いいな』”とものを選ぶような価値基準ではなく、ショップに置くものは、『誰が、どういう風に作ったか』を重視して決めたいと思っているの」
ショップには若手アーティストの作品が積極的に置かれ、19歳の女性アーティストの作品や一緒に働いていた美術の先生の作品も並んでいます。この辺りは比較的家賃が安く住みやすいためアーティストが徐々に増えてきて、隣や何軒か先に住んでいるような、そんなネイバーフッドアーティストたちの作品も多数。ローカルを大事にするという彼女の姿勢は一貫しています。「もともとポートランドは女性の起業家が多い街で、わたしにも女性のメンターやコーチがいて店を始めるときは支えてくれたし、今も相談に乗ってくれているわ。わたしは大成功したい訳ではないし、この場所はダウンタウンほど人も来ないというリスクもあるけれど、ネイバーフッドに貢献したいと願っているわ」
MANTEL
8202 N Denver Ave, Portland, OR 97217
PUBLIC HOURS : TUESDAY-SATURDAY 11-6 PM SUNDAY 11-5 PM
https://www.mantelpdx.com
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