#14 ヨットオーナーになる

スウェーデン ABCブック

前回、A-Ö(← ってなんだ、という方はコチラ)でセーリングについて書いたのですが、あれを書いたことで何かスイッチがはいってしまったのかもしれません。不思議なのは僕の中のスイッチではなく、僕を取り巻く半径10キロメートルほどの世界のどこかにあるスイッチだということ。奥さんがスウェーデンのメ○カリみたいなサイトで掘り出し物を見つけてきたのです。そして出品者はなんと家から車で10分の場所。モノはそう、中古のヨット。 

あわてて出品者に電話してはみたものの、一向につながらず。実物を見ないとわからないけれども、あのヨットがあの値段で、しかもクレイドル(陸揚げ時の船架)も込みでは厳しい争奪戦になることは必至。半ば諦めていたのですが、その日の夕方出品者から電話がかかってきて、君より前に連絡をくれた希望者が購入を断念したので、君に回ってきたよ、とのこと。どうやらその人はハーバーの手配ができなかったようでした。オーケー、すぐ近くに住んでるんだ。19時には行ける。そう返事をして、家族総出+ヨット歴の長い隣人を巻き込んで出品者のハーバー向かいました。善は急げ。 

道の先に目的のハーバーみえてきた。カメラなんて持っていく暇なし。iPhoneってすばらしい 

目的地はうちのハーバーがある入江をより深く入っていったところ。反対岸なので、車でぐるりと回らないといけませんが、水路ならほぼご近所。即決しても自分たちのハーバーに乗ってすぐ帰ってこられます。なんという奇跡。 

出品のヨットに初対面手放す彼は何を思う。 

出品者のK君は25歳。去年の夏からこのヨットでおじいちゃんからセーリングを習っていたのだけれど、そろそろ次の大きさのヨットにランクアップさせるんだとか。いい話だなあとおもいながら、そんな物語を込みで彼女のオーナーになるのも悪くないな、とこのヨットを引き受ける決意を固めました。彼女の名前はVaganza。よろしくね。 

ここにくる直前まで、いや、このヨットに対面してもなお、本当は今ヨットオーナーになるのはちょっと気後するところがないわけじゃなかっんです。夏休みが終わり、秋から色々と新しい生活がはじまる(その話は追い追い)のを前にして、ヨット(しかも年式の古い)を所有するということは色々な意味で結構な負担になるはず。でもまあ、これも出会いですよね。初めての自分のヨットだなんて、ヨット乗りだった亡き父が知ったら「あんなに俺が誘ったのに興味を示さなかったじゃないか」そういうに決まってるけど。 

キャビンの中もいい感じ。家族で寝泊まりできると知り、はしゃぐ息子。 

隣人と船内外を確認。補修が必要なところなどなどを指摘してもらい、売買成立。車で来ていたので、奥さんと息子は一足先に車で、僕と隣人はヨットで自分たちのハーバーへ。 

使い慣れないモーターなどに戸惑いながらなんとか出港。 

到着。ゲストボートのスペースにとりあえず停泊翌日早々にちゃんとした場所を契約、移動を済ませました。 

というわけで、家に帰ってから、初めてヨットオーナーになった日のことを実家と父の妹に報告したのでした。 

今回はこの辺で。 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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