#19 ふたつのマスターピース

スウェーデン ABCブック

先週、8月第4週は僕の誕生日がありまして、連日いろいろとイベントごとが多かったのですが、今回のお話は、素敵なふたつの出会いについて。ひとつは一目惚れ、ひとつは長い間の片思い。 

ところで、「これがほしいです」と、誕生日のプレゼントを事前にリクエストしておく、という人はどのくらいいるのだろう。ここ数年を振りかえってみて、僕はしてこなかったかな。今年をのぞいては。インスタグラムで見つけてすぐに「これがほしいです」と妻にお願いしてしまいました。 

一目惚れの相手は、ストックホルムの友達、Makiちゃん、Amiちゃんが手がけるMakiami Stockholmの作品。彼女たちの新作リング(トビラの写真、©︎Makiami Stockholm)。 

もらった指輪を連れて誕生日ディナーに。ワインなんてなくったって、うっとり。 

僕はアクセサリーや洋服を批評できるほどの知識もボキャブラリーもないので、なんともふわふわとした感想になってしまうのですが、このリング、不思議で、ひとことでいうと、ゴツいのかゴツくないのか、よくわからない。甘いか、甘かないか、と問われて、甘くはない、とも言い切れない。正直に言えば、僕のリングに対する第一印象はミニマルで、ソリッド/マッシブ。デニムに革ジャン、軍パンに合わせたい、が理由で惹かれたのが最初。でも、女性の指に収まっているのを見てから、印象ががらりと変わってしまって。というのも、全然ゴツく見えない。エレガントですらある。 

いったいなんの所為でだろう、とリングを眺めつつ、なんとなく思うのは、まず目に飛び込む印象的な八角形のファサード(リングに使っていい言葉かわからないけど)がリングの<センターストーン>を、その八角形の内2辺が微妙にRがかっていて、その湾曲がリングのアームに沿っていくことで、リングの<爪>を、それぞれ想起させるからかもしれない、ということ。リングをものすごく抽象化した結果できたリング。だから見た人の頭の中で抽象度を落として自分にひきつけたり、抽象度が高いままオブジェクトとしてのマッシブさを受け取ることもできるのかな。いやあ、誕生日プレゼントのリクエスト、してよかった。気になった方は是非Makiamiのウェブサイト見てみてください。 

Makiami Stockholmはグラフィックデザイナーの井崎亜美さんと、彫金家の岡本真希さんによるアート/デザインユニット(亜実ちゃん、写真なくてごめんなさい)。 

二つ目の出会いは、こちら。ご存知の方も多いかもしれません。スウェーデンを代表する画家、彫刻家、ガラスデザイナーのErik Höglund(エーリク・ヘーグルンド。日本ではエリック・ホグランの名で呼ばれることが多い)のシャンデリア。 

やばい。端的にやばい。 

長年憧れを抱き続けてきて、なかなか出会いがなかったこの作品。ヘーグルンドにしろ、この作品にしろ、長くなってしまいそうなので、バランスは悪いけれど、またべつの機会にということで。。。 

今回はこの辺で。 

おまけ

先程のレストランはこちら。友人家族が息子をあずかってくれるということで、急遽訪れたお気に入りのレストランMatateljén。キッチンのアイランド席がおすすめ。

形式的にはビストロ、ポーションサイズ的にはタパスという感じのレストラン。お皿ごとにどんな仕掛けや工夫があるのかな、とついつい色々たのんでしまいます。 

ヘーグルンドのシャンデリアに出会ったのは、陶磁器の街グスタフスベリのアンティークショップ、Jetson Antik(ジェットソン・アンティーク)。この日はグスタフスベリでは毎年恒例の陶器の日(Porslins helg)でした。

例年であればいくつもの野外ブースや楽団の演奏なんかがあって、もっと人手が多いのですが。。。こればっかりは仕方ありません。

今や北欧で唯一、今も昔と変わらずボーンチャイナを作り続けるGustavsbergs Porslinsfabrikファクトリーアウトレットにはスティグ・リンドベーリの名作も 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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