#32 南スウェーデン、ヘルシンボリへ

スウェーデン ABCブック

 ご無沙汰してます。ずいぶん間が空いてしまいました。我が家に新しい命が誕生し、息子は新たに小学校、僕は大学へ。慌ただしい生活の中で、クリスマス、年末や新年をとおりこし、時間はあっという間に過ぎてゆき、今やもう春。とは言ってもストックホルムはつい数週間前まで雪が降る、そんな天気でしたが。 

今回は少しさかのぼって、2月に南スウェーデンのヘルシンボリに行ってきた時のお話を。場所はスコーネ地方のヘルシンボリ。人口10万に満たないですが、存在感のある街です。デザインの歴史に詳しい人にはお馴染みかもしれません。 

その理由はこれ。1955年、この町ヘルシングボリでは建築、住宅、デザイン、芸術産業の製品に関する国際展示会、通称「H55」が開催されたのでした。この建物はその時のもの。今回は詳しく紹介しませんが、ご興味のある方はぜひ調べてみてください。ミッドセンチュリーデザイン界の巨星たちが綺羅星のごとく参加している、H55は歴史的にとても重要なイベントでした。 

もちろんヘルシンボリは今も文化政策が盛んです。こちらは文化会館「Dunkers kulturhus」。 

こちらはコンサートハウス「Helsingborg Konserthus」。写真はメインの建物ではなくチケットの販売口のものなのですが、そんなところもなんともいかした佇まい。 

ところで、パンデミック以降めっきり減ってしまいましたが、以前は仕事柄スウェーデンのあちらこちらに旅行に出かけることが多かったので、その土地ごとにお気に入りの宿があります。今回滞在したホテルはその仲間入り確実。実におすすめ。 

スウェーデン各地に展開するノルディック・チョイス・ホテルズ系列の「クラリオンホテル・シーユー(Clarion Hotel & Congress SEA U)」。海岸沿いの再開発の一環で2021年にオープンしました。 

メインレストランの「AMA」は地元の海の幸を使った日本とペルーのフュージョン料理。自動的にアレンジされた海外の日本料理に面食らうことはあるけれど、初めから他国とのフュージョンだと言われているとすんなりと、かつ面白く味わえるから不思議です。 

さて、レストランや、ジムやプールなどなど最新の施設が素晴らしかったのはもちろんですが、プラスしてグッときたのはこの景色。そう、先ほどのH55の建築が眼下に。 

ちなみに左手に写っている船はデンマークへの定期便。 

そのデンマークはわずか4km先。沿岸の建物がはっきりと見えるほどです。 

そうそう、雪景色の2月のストックホルムに比べて南スウェーデンははるかに春に近い。日差しが圧倒的に違います。 

この影の濃さ。 

まだまだ風は冷たいとはいえ、待ち侘びた陽の光にボードウォークは人でいっぱいでした。 

おまけ 
ちょっとだけ観光情報的なものも。ヘルシンボリは南の要所の一つで、中世には城がありました。この奥の丘を抜けていくと見える塔が現存する唯一の部分。扉絵はそこからの眺望です。 

Take care. Noritake

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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