『労働者の権利?!フィンランドのコーヒー休憩と残業について』

北欧 フィンランドからの手紙

先週、She isさんのオンラインイベントで、フィンランドの暮らしや考え方などについて1時間半トーク・セッションをしました。事前に頂いていた会員さんからの質問で、「本当にコーヒー休憩があったり、残業がなかったりするのでしょうか」というものがあったので、そこでもお話ししましたが、ここでも軽くまとめておきたいと思います。

【労働者の権利としてのコーヒー休憩】

・コーヒー休憩を必ず設けるように法律で定められています。

・6時間以上勤務の場合、労働条件として15分のコーヒー休憩を1日に2回以上設ける決まり(4時間以下ならコーヒー休憩はなし。4~6時間の労働ならコーヒー休憩1回)があります。ただこれは職種にもよるのかなと私は思います。例えば忙しいレストランでは、休憩なしで10時間くらい働いていたこともありました。

・コーヒー休憩はフィンランド語で「カハヴィタウコ(kahvitauko)」。“kahvi(カハヴィ)”はコーヒー、“tauko(タウコ)”は休憩という意味。フィンランド人が大好きな言葉の一つです。

【日常の中のコーヒー】

・一人当たりのコーヒー消費量が世界一と言われるフィンランド。コーヒーを習慣的に飲む人の平均的な消費量は1日に約3倍。でも5杯〜8杯飲む人も結構います。

・「コーヒーを飲む」「コーヒーを飲みに行く」ということが生活のごく一部になっているので、選挙期間中は街の真ん中に各政党のテント付きブースが出現し、テントの中に入ったりそばを通りかかるとコーヒーをもらえます。コーヒーの他にドーナツやクッキー、キャンディーやソーセージなどを配っていて、それをみんなでもぐもぐ食べながら、候補者と直接お話しして質問したり、テントの前や壁に貼ってある選挙公約を読んでお互いの考え方について話したりします。
ちなみに、誰かと初めてデートに行くときも「コーヒーに行こう」と誘ってから始まることが多いです。酔った勢いで…というのを避けるため、まずはコーヒーを一緒に飲みに行くのが妥当な形のようです。

【残業について】

・フィンランドにも残業はあります。これは職種や時期(例えば大きなプロジェクトを抱えている時期など)にもよります。ただ、日本の人の抱える「残業」のイメージとフィンランドの人の抱える「残業」のイメージは違いがあります。
例えば、フィンランドの人々にとっての「残業」は30分から1時間など非常に短めです。8時開始で16時終業のオフィスでの「残業」は、大体17時や18時まで。延長した時間は割り増しして計算されて基本給に足されるか、貯まった残業時間分を金曜日の午後に動かしたり長期休暇に付け足しして、休みとして消化したりもできます。

・フィンランドでは「労働者が精神・身体ともにゆっくり休息することが、より効率的な生産活動につながる」という考え方が根付いていますので、たとえ残業が続いたとしても、そのうち大型の休みが来ますし、または金銭的なリターンが望めます。

トークセッションの中での「普通のことがちゃんと普通にできているんですよね」というコメントが印象的でした。コーヒー休憩では誰かが作って来てくれたお菓子を食べたり、プライベートなことをちょっと話して盛り上がったりと、同僚やボスと打ち解ける場でもあります。頭の切り替えのためにも小まめな休憩は大切ですよね。こんな時間の使い方に、フィンランドののんびりとした国民性が見えます。




写真・文 : 吉田 みのり

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