『フィンランドの人々から学ぶ、ものを大切に使う習慣①』
モノがないこと、不便であることをフィンランドの人々は悲観視しない。こちらの人々は、古いものをいつまでも大切に使う。
友達の家を訪ねれば必ずといって良いほど、「おばあちゃんから譲り受けたテーブル」とか「おじいちゃんが使っていたシャツ」など、家族や友達からもらったり蚤の市で手に入れた、年季の入った立派な家具やヴィンテージのマリメッコのシャツやドレスを見せてもらう。
例えば我が家にあるこの鍋は、夫のベンヤミンのおばあちゃんが娘、つまりベンヤミンのお母さんに譲ったものを、ベンヤミンが譲り受けたもの。3代にわたって大事に使われてきた鍋は、とても良い仕事をする。分厚い鉄の鍋はスープや煮込み系の料理ではじっくりと野菜や肉を暖めて素材の旨味を引き出すので、これら鍋で作る料理はとっても美味しい。この魔法をベンヤミンはよく「おばあちゃんのハグ」と呼ぶ。新品には出せない、独特の温かみと味わいがそこにはある。
フィンランドをはじめ北欧諸国は、美しいデザインの雑貨や家具などで有名だが、その美しいデザインの背景にはこの国ならではの習慣や哲学がある。長く厳しい冬は家の中で過ごす時間が多くなる。だからこそ、家はできるだけ過ごしやすく、快適にしたいという思いがある。部屋や庭は常にさっぱりと片付けられていて、お気に入りのものだけを置いている。高緯度のために太陽の出現率が低い暗い冬に少しでも光を感じるべく、キャンドルに火を灯したり(フィンランドの国民一人当りのキャンドル消費量は世界一)、クリスマスの時期には窓辺にライトを飾って街ゆく人たちに暖かい光を送る。
(②に続く 11/27公開予定)
写真・文 : 吉田 みのり
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