『2020年のクリスマス』

北欧 フィンランドからの手紙

1週間以上前のこととなってしまいましたが、クリスマスをどう過ごしたのか、時系列で書き残しておきたいと思います。

12月24日
イブは実家に帰らず、ふたりと2匹で過ごそうと夫が提案してくれたのでいつもと違うクリスマスイブを過ごしました。というのも、私たちは2年前の今頃、友達の猫さん2匹を預かっていたのですが、夫の家族とクリスマスを過ごすことにしたために、猫さんたちをヘルシンキに置いて(部屋を短期で借りた日本人女性がお世話を引き受けてくれました)クリスマスを祝ったのです。夫のお姉さんとそのワイフも猫を飼っており、会うとケンカになってしまうので連れて行けなかったのですが、今でも一緒にクリスマスを過ごせなかったことを後悔しています。私たち二人にとって、その猫たちは今でも大切な存在なので(お~い、マイサ、ルナ、見てる~?って、見てないか)毎日のように元気にしているかな、幸せに暮らしているかな、と考えては胸が痛くなります。そういうわけで、今回はこの春から迎えた猫さんたちと過ごすクリスマスを選んだのでした。

「日本ではケンタッキーフライドチキンを食べたりするよ」という私の話に感銘を受けて、自分は食べたことないのにKFCメニューを再現してくれました。

「どうせクリスマス(25日)には実家でたくさん用意された伝統的なクリスマス料理食べるんだから、ヘルシンキにいるうちはオリジナリティ溢れる、美味しいものを食べよう。ぼくはフィンランドのクリスマス料理も好きだけど、クリスマスにチキンを食べる文化も最高だと思う!」と言って、人生で一度もケンタッキーフライドチキンに行ったことも食べたこともないのに、コールスローやビスケット(はちみつ付き)まで作ってくれたのでした。

ほかに特別なことは特に何もしなかったけれど、猫さんたちとたくさん遊んで、おやつも特別にあげて、幸福な夜を過ごしました。

25日
クリスマスの日は夫の実家へ。数日前から夫のお姉さんとワイフと黒猫のシリウス(ハリーポッターのキャラクターが由来)が泊まっていたので、合流しました。

家に着くと、クリスマスツリーの下には私たちへのプレゼントが!

「庭にちょうど良いのが生えてたから切ってきたよ」とお義母さん。

クリスマスが大好きなお義母さんは、毎年家じゅうをクリスマスのデコレーションで飾ります。

ディナーは夫のお姉さんのワイフの提案でRåraka (raggmunk) =ハッシュブラウン。「クリスマス料理だけじゃ飽きちゃうよねー。ちゃんと美味しい要素もなきゃ」と素晴らしい発想。さすが現在シェフ学校に通っているだけあります。伝統的な魚料理(サーモンやニシンなど)にも合うし、スメタナや魚卵などをたくさんかけてブリニ(ロシア発祥のそば粉で作るパンケーキ。フィンランドでもよく食べられる)のようにも食べられるし、グルテンフリーのものしか食べられない夫のお姉さんも食べられるのでぴったりでした。みんなでシャンパンを開けてとりとめのないおしゃべり。 「今夜こそついに家族が全員揃った!嬉しい!」と一番嬉しそうだったのはご両親でした。

デザートは「非常事態用のケーキ」。というのは、フィンランドあるあるだと思うのですが、甘いもの好きが多いフィンランド人、家族のメンバーみんながケーキを焼きたがって、食べられないほどのケーキがクリスマスにはできてしまうため、毎年のように「私が作るから他の人は作らなくて良いよ」と誰かが宣言するのですが、それでも結局「もしもケーキをみんなが食べ切っちゃった用に作っちゃったよ」と必ず誰かが作って来てしまうのです。今回は私たち以外の全員がそれをしてしまったため、やっぱりケーキの量はとんでもないことになりました。

豪華なディナーでお腹いっぱいになったら、リビングルームに移ってテレビ鑑賞。これもフィンランドのクリスマスではほぼマストと言っていいアクティビティのひとつです。今年はスターウォーズでした。

プレゼント交換をして、サウナに入ってさっぱり。みんな、クリスマスの伝統をすべてやり切った満足感でいっぱいです。笑

26日
26日は近所に住んでいる伯母さん夫婦の家までクリスマスプレゼントのグロッグを届けるミッションで、夫と夫のお姉さんとそのワイフと雪の中をお散歩。伯母さん夫婦は70歳以上なので玄関の前にそっと置いて窓から手を振るだけだけど、それでもみんな、顔を見られて少し会話をしただけでも嬉しそうでした。

今回のクリスマスはちょっと雪が降ったので、無事にホワイトクリスマスになりました。階段が凍ってすべらないように、お義母さんのちょっとした心遣いがまたキュートです。この国々の自然を使ったデコレーションの上手さは日本の人々と共通するものがあると思います。それもまた、お互いに魅力を感じている理由の一つなのでしょう。




写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP