『フィンランド移住の秘訣とは?』
4年前に職場で出会った友達と3人で、「美味しいものを食べながら出来るだけ心の深くにある埋もれていた傷や感情について話す会」を定期的に開催している。その職場は今はもうなくなってしまったけれど、友情はいまだに続いている。毎回交代制でお互いの家に呼びあって、得意の手料理をたっぷりと振る舞って、とことん話す。生まれた場所も第一言語も年齢も性格も宗教も考え方も違う私たちだけど、知らない間に心を開ける相手となり、過去の思い出や未来への希望、現在の不安や野望などなど、なんでも延々と話せる相手となれたことは、ちょっと奇跡のような気もするし、案外なるべくしてなった関係かもしれない。
ある日、話の流れで自分たちのルーツの話になり、DNAテストを一緒にすることになった。注文して試験用の綿棒が届いたら、ほっぺの内側をこすってラボラトリーに送る仕組み。2〜3週間後にテスト結果が届いて、恐る恐る3人でお披露目会をした時のあの感激といったら!
私のDNAテストの結果の中にあった、「2%フィンランド人」。これを知って一番びっくりしたのは私よりも夫と友達だった。結果を知って、涙を目に浮かべながら「あなたのDNAの中にあるフィンランド人が、この地に戻って来たかったんだろうねぇ」と言ったりしてくれる友達もいたし、「いや、全然驚きじゃない!その尋常じゃない森好きはDNAに組み込まれたものだったのだね、納得納得」と言ってくれた人もいた。
たまに、海外移住の秘訣は?とか、フィンランド移住が合う人はどんな人?という質問をもらうことがある。
移住を始めて最初の方は「柔軟性がある方が良いと思います」とか「言語にとどまらず、その国ならではのユーモアや政治についても日々学ぶべき」なんて答えたりしてしまっていたけれど、今はもう肩の力も抜けきっており、「自分らしく生きていれば、自分に合う人が必ず周りに集まって来て、居心地の良い環境が自ずと作られるから、みんな大丈夫です。合う人、合わない人などは特になくて、強いて言えば、素直な心で魂を込めて交流するのが秘訣です」と答えるだろう。
どこに住んでいたって、自分にぴったりの人が集まってくるように世界はできているし、幸せになれる鍵はそこらじゅうに転がっていると思うのだ。
そして、どこに住んでいても、「美味しいものを食べながら出来るだけ心の深くにある埋もれていた傷や感情について話す会」は、おすすめ。気の置けない仲間と、美味しいものを食べる。シンプルな行為だけれど、それだけで私たちの心はいつだって元気満タンになる。
写真・文 : 吉田 みのり
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