#16 夏休みの宿題

スウェーデン ABCブック

9週間もある子供達の夏休み。それをどう過ごすかは親御さんたちの悩み事の一つです。というのも我々には4週間しかお休みがないから。贅沢な!と思われるかもしれませんが、共働きの家庭が大多数を占めるスウェーデンでは、学校がしまっている間、父、母がともに仕事に出かけるわけにもいかないわけで、例えば夏休みを2週間ずつに分けて交互に取るとか、それでも家族旅行は一緒にしようとか、どうにかスケジュールをやりくりして、これを乗り越えていくわけです。休みなんだからのんびり過ごせばいいじゃないか、と言ってそれができるのは大人だけであって、じっとしていられない子供達にとっては退屈なだけ。加えて、子供たちにとって充実した夏休みにするためには、なんて考えるとこれまた大変で、今回はうちの苦肉の策についてのお話です。 

以前お話ししたとおり、スウェーデンの新学期は秋からで、小学校0年生(日本だと幼稚園年長組)にあがるうちの息子には、小学校からいくつかの宿題が出されていました。そのリストは例えばこんな感じ。 

・大笑いする楽しいことをしよう 
・素敵な本を読もう 
・トランポリンでとぼう 
・平均台を歩こう 
・片足でどれだけ長く飛べるかやってみよう 
・木に登ろう 
・好きな曲に合わせて踊ってみよう 
・食べたことのない果物に挑戦しよう 

こんなかわいらしい感じ。OK、じゃあこれにもう少し夏休みチャレンジを追加して、大きなイベントにしよう、というのが我が家の作戦です。元になっているのはスウェーデンのJulkalender(クリスマスカレンダー)。12月1〜25日まで毎日ひとつずつ小さなプレゼントがついているカレンダーがあるのですが、去年それが楽しかったので、それにちなんで(ほぼ)毎日、郵便受けに「指令」が届くというしくみ。 

この日の指令は「ラズベリーグミ(お母さんのお気に入りのお菓子)」を作る! 

追加した指令はたとえばこんな感じ。 

・クレイアニメを作る 
・友達に手紙を書く 
・YMOのRydeenのサビをピアノで弾く 
・10メートル泳ぐ 

ラズベリーグミを製作中。手伝う僕だって初めて。

無事完成。添加物不使用です。素材本来の香りってやさしい。 

この指令、完遂すると難易度に応じたコインが翌日またしても郵便受けに届きます(冒頭の写真のやつ)。で、それを集めるとアイスクリームやLEGOがもらえる、という露骨なインセンティブ。聞いた話では、報酬効果によって子供に何かをやらせるのはあまり良くない、というのもあるようですが、世の中には楽しいことがいろいろあるんだよ、というきっかけ作りや、小さな成功体験のためには、まあいいかと思っているしだい。 

全く足のつかない海でも平気で飛び込むようになりました。

森で遊ぶ、は友達家族と一緒に。親も一緒に楽しまないと。 

おちいりがちなテレビばっかりゲームばっかりをいかに回避するか。どうせいずれそうなるんだから、今ぐらいは足掻いてみよう、というぐらいの心構えが大事かも。「郵便受けに指令を入れてるのはお父さんでしょ」と言われないうちは続けてみます(実はもう知っていて、合わせてくれてるのかもしれないけど)。 

今回はこの辺で。 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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