#08 リンゴンベリーのジュース

スウェーデン ABCブック

製造元:JOKK  
商品名:JOKK Lingon 
内容量:250 cc 
価格:20 kr 

野生のリンゴンベリー(コケモモ)を用いた濃縮ドリンク。 

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日本からスウェーデンにきて、僕の消費量がものすごく増えたものがいくつかあります。主食系のジャガイモやパン、これは仕方ない。それからコーヒー、これも国民一人当たりの消費量が世界トップクラスのスウェーデンなので仕方ない。これらはある程度予想がつきます。しかし全くノーマークだったのが、ジャム!(※)へたをすれば300gぐらいの瓶であれば1週間もたないことも。日本にいた時は開封後も食べきれずにカビが生えてしまうほどだったのに。どうしてか。それは端的に言って、リンゴンベリーにハマってしまったからです。 

ちなみに、この果物等を砂糖で煮込みペースト状にした食べ物はスウェーデンでは砂糖の量や果肉の有無などで「mos(モース)」「sylt(シュルト)」「marmelad(マルメラード)」「Gelé(ジュレ)」などに分類されます。 

うちの庭に自生しているLingon(リンゴン)。リンゴンベリーやブルーベリーを植えて育てているよ、という人はほとんどいないかもしれません。これらは自生しているのを収穫するもの、という認識です。8月末〜9月頭が収穫どきですが、今年はいやに少ない 

日本でもIKEAなどのおかげでだいぶポピュラーになったリンゴンベリーですので、どんな味かご存知の方も多いかもしれません(ミートボールについてくるあれですね)。甘酸っぱくて若干苦味がある、他にない味。そうそう一般的なジャムもいいですが、僕が一番好きなのはリンゴンベリーの砂糖漬け。一晩つけておくと浸透圧で身が崩れていないさらさらジャムみたいなものが出来上がります。作り方はこれだけ。正確にはRårörda lingon(ローロルダ・リンゴン)といいます。フレッシュでリンゴンの苦味をより感じられ、ちょっと大人向け。いくらでも食べられます(僕は)。 

といいつつ、そろそろ今回のおみやげの話ですが、リンゴンはリンゴンでも、日本でも比較的手に入れやすいジャムではなく、ドリンクの方をご紹介。 

こちら。水で薄めて飲むタイプのもので、かつ紙パックなので持ち帰りも安心。こうした濃縮還元的なドリンクは他の国にもたくさんあって珍しいものではありませんが、リンゴンはけっこう限られるはず。中でもこのJOKK(ヨック)というブランドはリンゴンベリードリンクの代表的な銘柄です。 

スーパーマーケットに行くと棚一面にさまざまなメーカー、味の濃縮系ドリンクが売られています。 

JOKKブランドはスウェーデンで最も北にある酪農会社Norrmejerier(ノルメイエリーエル)によって1972年から製造開始。北特有の土地の実りを使った商品を、ということで始めたそうで、この会社、創業が1971年なので、酪農品製造とほぼ並行してJOKKブランドが始まったことになります。現在はリンゴンベリーのほかにもブルーベリー、カシス、クランベリーも作っています(※ 2013年以降Orkla社によって製造)。 

こちらはブルーベリー。同じく原材料は野生のものを使用。 

このリンゴンベリードリンク、なんと一般的な定食屋さんや学校の食堂などでは、水と同じ扱いで、ウォーターサーバーにならんでかなりの確率で目にすることができます(もちろん無料。ちょっと薄めだけど)。そういう意味ではコーヒーにならぶ国民的なドリンクといえなくもない。とはいえ、どこの国も同じですが、健康志向が強まる昨今なので、ランチに嬉々としてこの赤い液体を手にするのは、ちょっとどうなの、というプレッシャーはありますけど。 

今回はこの辺で。 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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