『アパートメントのコミュニティースペースでリサイクル品の交換』
フィンランドに住むようになって気づいたのが、「不用品があればまず捨てるのではなく、欲しい人がいるか聞いてみて譲る」という共通認識を持つ人がこの国にはとても多いということ。友達や家族と時間を過ごしていると「ベッド要る?」とか「電子レンジ要る?」など、比較的頻繁に物の譲受の話になります。我が家もソファから鉢植え、ハンドミキサーなどもらいもので溢れていますし、この1か月だけでも冷蔵庫やコーヒーマシンなど不要な電化製品を安価で譲りました。私の服も多くは友達から譲り受けたものです。
かつてヘルシンキはカッリオにある、1920年代にコミュニストたち用に建てられた古くて美しいアパートメントに住んでいましたが、階段の窓のところに毎日のように違う本が置いてあって共有図書館みたいになっていました。この不思議な共有図書館に新しく入荷されていた本か面白そうだったので家に連れて帰ったこともあります。
『愛と反乱 若者のための210の詩』
Maria Rydhagenの短い詩
それは笑いを浮かべる
わたしは愛している
あなたの自由を
Den flaxar till
Skrattmås
Jag älskar
din frihet
Maria Rydhagen
アルッピラに住んでいた時は、建物の共通のゴミ捨て場にリサイクルコーナーがあって、毎日のようにラインナップが変わるほど盛んに使われていました。この棚から本や雑誌、キャンドルなど色々もらってきましたが、一番ビックリしたのはアアルトチェアを発見した時。買ったら4万円以上する椅子…。修理して使うことにしました。捨てる神あれば拾う神ありです。
このゴミ捨て場の棚では「きゅうりがたくさん採れすぎたのでどうぞ」ときゅうりが大量に並んでいた時もありました。フィンランドではよく街中で「もし良かったらりんごどうぞ」の箱も見かけます。採れすぎて食べられないので、近所のの人で欲しい人がいたらもらって欲しいという人が非常に多いのです。不要なものを譲り合う文化、かなりハートウォーミングです。
文 : 吉田 みのり
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