『フィンランドのバチェロレッテパーティーとブライダルサウナ(後編)』

北欧 フィンランドからの手紙

前半では、フィンランドのバチェロレッテパーティーの簡単な説明とティーナのバチェロレッテパーティーの前半について書きました。こちらは後半です。

ご飯担当の私は、飾り担当のソンヤとラウラと一緒に、次の会場へ。ソンヤとは3回くらい会ったことがあったけどラウラはこの日が初対面。でもやっぱり友達の友達って良い人ばかり、このあたりからどんどん話が盛り上がって心地よい存在に。

次の会場はソンヤが住む家のコミュニティーハウス。キッチンと大きなパーティールーム、サウナもついて、無料で借りれるスペースだという。ヘルシンキは首都に住みながら、こういう特典がある賃貸住宅に住めたりするのはとても良いことだよなぁと思う。

ネイルサロンを訪れた主役と他のメンバーも次の会場にやって来て、次はヴォーグダンスのレッスン。トランスジェンダーのインストラクターのアマンダが、「最高にセクシーでレイジーな日曜日の朝のベッドスタイルヴォーグ」というオリジナルダンスを教えてくれて、みんなで汗だくで踊って大爆笑。ダンスを一緒に一時間習ったことで、グループとしてのまとまりが出てきて、みんな打ち解けあってさらに楽しい雰囲気に。

汗を流したら次はブライダルサウナ。

さすがに写真はないけれど、やっぱりフィンランドのバチェロレッテパーティーのクライマックスといえばブライダルサウナ。土着文化の習慣で、主役に小麦粉や卵や塩を頭髪にかけておまじないを唱えたり、元カレ(または元カノ)の名前を言いながらロウリュ(サウナの熱い石にじゅっと水をかけて蒸気をだす行為)をして「悪霊よ消えろ!」と大声で叫んで追い払ったりする。楽しい。私のために友達がブライダルサウナをやってくれたときは、「強くヴィヒタ(白樺の若枝で作る枝束)で叩かないと悪霊がいなくならないから」と魔女担当の友達が参加者に指示したため、友達全員に過去の男たちの名前を叫ばれながら容赦なく全裸を叩かれて、翌日もヒリヒリと全身が痛かった。 今回の主役はグルテンアレルギー持ちなので小麦粉をグルテンフリーにして、洗髪が大変なので卵は頭にはかけずに身体にかける程度に。その代わりブライダルシート(主役が座る特等席)には「結婚生活は甘いだけじゃなくていばらの道でもある」という教えを体現させたばらの棘で編んだ輪が。ここに座らせて苦痛を味あわせるという…フィンランドの土着の文化は恐ろしいものも多い。だからこそ興味深いのだが、知れば知るほどに闇は深い。

サウナの後はディナー。ここでソンヤからのスピーチが読まれた。「ティーナがいかに素晴らしい友達かを、ちゃんと本人にめいっぱい直接伝えることができた日だった。こんな日が持てたことが本当に幸せ。」というところで私が大泣きしてしまい、ティーナは私の元に来て思い切り抱きしめてくれた。ティーナの優しさと笑顔と賢さと面白さに、どれだけ救われてきたことか。フィンランドに住むずっと前から私を知ってくれている友達でもあるティーナ。友達がまた素敵な人ばかりで本当に良い日だった。

ディナー後は「ポーション(魔法薬)クラス」という名のカクテル作り。本当は参加予定だったもののコロナの影響で英国に帰ってしまったバーテンダーのクラウディアによって考案された魔法のようなカクテルを堪能し、カラオケ大会へ。

時すでに真夜中。飲めや歌えや踊れや笑えやで、もみくちゃになってパーティーは続いた。

今回のバチェロレッテパーティーは、参加メンバーに妊婦や病院関係者が半数以上を占めていたことから、実行を前々日までためらったりしながらの決行だった。

この時期にパーティーをしていいものか、と迷ったりもしたけれど、参加人数を絞ったこと、また移動手段をすべて車にし、安全を最大限に考慮して集まったことによって、ちょっと落ち込んでいたティーナに元気を届けることができたし、友情の恩返しがちょっとできたことがとても嬉しいし。それにティーナの友達の良さを発見して、新たな友情が育まれたことも良かった。思えばフィンランドの移住生活、ここまで私が元気に健やかに生きてこれたのはひとえに友達と夫、そして夫の家族の支えがあったからではないか。人が人の人生を作り、育み、豊かにする。当たり前だけど、身近な人に支えられ、彼らを支え、愛し、幸せを願って行動することこそが人生の醍醐味なのだと、このパーティーを通して人生の意義を再確認できた日でもあった。



写真・文 : 吉田 みのり

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