『猛暑のフィンランドの過ごし方』

北欧 フィンランドからの手紙

この夏は猛暑がフィンランドを襲っています。今年は世界各地で異常気象が見られていますが、フィンランドもまたそのひとつです。ほぼ一か月連続で暑い日が続く夏はこの国では大変珍しく、フィンランドの中小都市・コウボラでは27日連続で摂氏25度以上に気温が上がり、1961年以来の猛暑の記録を打ち出したそうです(そしてこの猛暑はあと5日は続くそうです)。

暑さには慣れていないフィンランドの人たちは「暑い暑い」としきりに言い、いつもは太陽の光を求めてテラスや公園に集まる人たちもこの夏は涼しさを求めて屋外や日陰を求め歩いています。普段から海に湖に川にと泳ぎに行くのが好きな人が多い国ですが、この夏は特に水辺で過ごすことが多いように見えます。

一方、夫の実家の一軒家には家の造り上、熱がこもってとてもじゃないけど家の中にいられないため、家族の皆は涼しくなるまで基本的に庭で生活します。朝起きたら庭で朝ごはんを食べ、庭で本を読んだりおしゃべりしたりします。ちょこちょこと庭仕事をし、泳ぎから戻ってきたら庭で休む、と庭でずっと過ごすのです。この日は家族揃っての晩ごはん。自分たちの庭の畑で採れたサマーポテト、人参、ハーブのほか、夏の風味たっぷりの花のバター、スモークした白身魚などを食べました。

夏至に比べて日は短くなったけど、写真を撮った21時頃はまだまだ明るい、多幸感に包まれた夏のフィンランドです。

家族は全員スウェーデン語が第一言語なので終始スウェーデン語で話します。この日の話題は夏休み、仕事のこと、庭造り(今年はあの花は咲かなかったとかあの花は場所を変えたとか)、昔の思い出話、方言、コロナの状況についてなどでした。 昔話で面白かったのは「1969年のフィンランドではアルコール販売の法律が今よりずっと厳しくて(今も日本よりはかなり厳しい)、ビール1本を買うのに必ずサンドイッチも1つ買わないといけないという法律があった」こと。サンドイッチは便宜上売られていて誰も食べないので全然美味しくなかったそう。サンドイッチをようやくたいらげて、2杯目のビールを飲みたいな…という時はやっぱりサンドイッチを買わなくてはならなかったそうです(笑)。そんな昔話を面白おかしく語ってくれるお義父さんは70歳。この日は夫のご両親の結婚40周年記念日だったので、昔話にもいっそう花が咲きました。

写真・文 : 吉田 みのり

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