『アンダーグラウンドアートエキシビション、 ホームパーティー、森歩きの週末のこと』

北欧 フィンランドからの手紙

現在、ヘルシンキで居酒屋&日本酒バーをオープンするために毎日たくさん動き回って大小色々な仕事をしているのですが、働きすぎて心身ともに疲労困憊だけは避けたいといつも思っています。日本でも長年問題視されている「激務をこなしていることは偉いこと」というような価値観は、実はフィンランドのレストラン産業をはじめとした場でもよく見られたりします。「睡眠時間を削って、心と身体がボロボロになるまで働く」というライフスタイルが「かっこいいもの」「褒められるべきこと」という美徳になることがあるのです。しかし次世代のシェフをはじめ、多くの人は「心身が壊れるほどに働くと、壊れたあとの回復にはとんでもない時間がかかる。下手をすれば一生トラウマとなってしまい、エネルギーたっぷりに働いたり、心から人を信じることができなくなってしまう」という意識を共通して持っており、日々お互いに「働きすぎないこと。疲れたら休むこと。仕事よりも精神的な平和を重視すること」を啓蒙し合っているように感じます。 

そんなわけでできるだけ息抜きをしようといつも努めています。この前の金曜日は夕方まで働いた後、親友のナタリアと一緒に誘われてアンダーグラウンド・アートエキシビションへ行きました。Verkosaari(ベルコサーリ)という、これから開発される予定の手つかずの埋立地にポツンポツンとある、かつてはボートなどの倉庫だった大きなテントを、アーティストたちがアジトとして使って夜な夜なパーティーしながら作品作ってるらしいです。 

街は、世界は、こうじゃなくちゃね。そんな自由とカオス、そして希望と発展を感じた空間でした。その後は最寄りに新しくできたバーへ。Kuutila Barという名前の小さなバーで、キッチュな内装にフラワーチルドレン的な音楽がかかった心地よい空間です(まるで下北沢のレゲエバーや高円寺でサイケデリックロックのレコードが聴けるバーみたい!)。 

翌日は友達の妊娠お祝いパーティー兼引っ越しパーティーに行きました。米国ではベビーシャワーと呼ばれるものだと思うのですが、オムツのケーキもジェンダーを明かす風船などもなく、静かにケーキを食べたりゲームをしたりと穏やかなパーティーでした。 

友達が大工なのですが、彼が一からすべて手作りしたというキッチンが素晴らしい出来栄えでみんなで驚愕しました。 

壁に冷蔵庫や食洗器が内蔵されているのです!デザインから木材集め、建設まですべて彼一人でやったそうです。 

翌日は秋の気配感じる森を歩いて、庭で収穫をしました。 

今回の収穫作物はビーツ、にんにく、ズッキーニです。採れたてのにんにくはとってもジューシー! 

日々、何気なく過ぎてゆく日常ですが、よく考えると毎日がユニークで一秒一秒がかけがえのないものだったりします。たまに振り返ると、平凡だけども愛しい日々に、ちょっと嬉しさがこみあげたりするものです。そろそろ夏も終わり、秋が始まりかけているフィンランドですが、良い秋を迎えたいと思います。 

文 : 吉田 みのり

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