『わたしがフィンランドでいちばん好きな美術館「KIASMA(ヘルシンキ現代美術館)』

北欧 フィンランドからの手紙

パリに住んでいた時に通い倒したのは現代美術を心ゆくまで楽しめる「ポンピドゥー国立芸術文化センター」ですが、「フィンランドでいちばん好きな美術館は?」と訊かれたらやっぱり「KIASMA(ヘルシンキ現代美術館)」と答えてしまいます。そんな私の愛するキアズマは現在改装工事のため閉館中。次にエキシビションは来年の4月です。

初めて足を運んだのは2002年のこと。それから何度足を運んだことか。Ann Veronica Janssensのフィンランド初の作品展では、光や霧、反射や液体の刹那的で神秘的な美しさをミニマリスティックに提案・表現していて、視覚の限界に戯れる感じがとても楽しかったです。

エルネスト・ネト展では靴を脱いで寝転ぶハンモックや大きなドームでゆっくりアート鑑賞をしたり。ヒッピーたちが寝転がって音楽を奏でたり歌ったりと愛の溢れる空間でした。エルネスト・ネトの展示は表参道のエスパス・ルイ・ヴィトンで見て以来。とっても好きなアーティストの一人です。

Mona Hatoum展では家具や鉄や紙、髪やビー玉、石鹸や砂を使って世界のコンテクストの記号変換を試みる展示が好きでした。Mona Hatoumはベイルート出身でロンドンをベースに活躍する、パフォーマンスからキャリアをスタートさせた女性アーティストです。

「動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。―スーザン・ソンタグ」

文 : 吉田 みのり

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