『11月のポップアップ居酒屋&酒バーin ヘルシンキの報告②』

北欧 フィンランドからの手紙

ヘルシンキで行なった、ポップアップ居酒屋&日本酒バー報告の第2回目です。

前回までは「牡蠣グラタン」、「山芋と胡瓜のゆかり和え(2日目はいぶりがっこクリームチーズ)」、「大根含め煮プロシュート」についてご説明しました。

【胡麻豆腐と柿】

季節の柿(フィンランドでは柿が出回るのはちょうど10月から12月にかけて)を使いたかったのと、前回・前々回とジーマーミー豆腐が大好評だったので、似たような食感のものをご提供したくてメニューに取り入れました。たったひとつの小鉢料理ですが、理想の風味と色合い、食感と形状を求めて、約2か月かけて何度も何度も試作品を作りました。葛粉やタピオカ粉などの量を変えたり、黒ごまを炒ってからペーストにして、さらに漉したり…。タレはジーマーミー豆腐と同じタレを使いました。この甘い醤油、すごく受けが良いのです。フィンランドでは(でも?)、照り焼きソースやスウィートチリソースなど、味が強くて甘みがあるソースが人々の心を掴みやすいです。全体的に甘党が多い国です。

【きのこあんかけ豆腐】

もうひとつ、出汁を使った美味しい料理を食べてもらいたいという思いから、きのこのあんかけ豆腐も考案しました。きのこは夫の実家のそばの森に生えていたきのこ「スッピロヴァハヴェロ」です。フィンランドでも舞茸やしめじは手に入るのですが、せっかくなら自分たちの手でひとつひとつしっかりと摘んできた、フィンランドのあちこちに自生するきのこをご提供したくて。日本の片田舎に行くと、朝摘んできた山菜を天ぷらにしたり、ご近所の人が釣ってきた魚を煮込んだり、裏の山から採ってきたきのこを使ったお味噌汁を作ってもらったりすると思うのですが、そういう地産地消の温かさを自分たちのお店でもできるだけお伝えできればと思っています。フィンランドのきのこは実は和食に使えるということも。日本の結構地味なお料理ですが、意外にもとっても人気でした。

【和風ユッケ】

前回・前々回とお刺身をご提供していたので、今回は生魚を使った、違う形の料理を食べてもらいたいなと思っていました。前々回はハマチのなめろうもお出ししていたので、今回は韓国のユッケから影響を受けたお料理に決定しました。

前回「カルボナーラうどん」をお出しした時に私たちが伝えたかったことのひとつが「居酒屋料理の持つ、国際色豊かな一面」でした。一般的なヨーロッパの人は、日本では寿司や刺身や焼き鳥をいつも食べていて、居酒屋もいわゆる和食しか置いていないというイメージを持っていたりします。けれど実際は、一般的な居酒屋に入ればグラタンもあるし、ナポリタンとかペペロンキャベツとか創作料理もあるし、唐揚げとピザが同じ食卓に並ぶことだってあります。日本の人々は料理においては自由に国境をまたいでいて、ユッケやキムチ、チャンジャなどの韓国料理も日本人の日常にしっかりと根付いていると思います。これからも気軽に外国から日本にやって来た料理をご提供したいなと考えています。ちなみにこのユッケは大ヒットでした!

今が旬のいくら。新鮮なうちに出汁醤油で味付けをします。

(③に続きます!)


写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP