アテネウム美術館の『MODERNI NAINEN(近代の女性)』展と『VUOROPUHELUA(ダイアローグ)』展へ。

北欧 フィンランドからの手紙

ヘルシンキの中心地にある美術館「アテネウム美術館」で現在開催中の『MODERNI NAINEN(近代の女性)』展と『VUOROPUHELUA(ダイアローグ)』展に行ってきました。

『MODERNI NAINEN(近代の女性)』展は、フィンランドで主に20世紀という100年に活躍した女性芸術家に焦点を当てた特別展で、時代の社会的、政治的、文化的変化の真っ只中において、女性たちがどのようにフィンランドの近代化に貢献したかについて掘り下げて考察しています。

フィンランドの国民的画家として日本でも回顧展が開催されたヘレン・シャルフベック(今年の夏には伝記映画も公開予定)の作品のほか、シグリッド・シャウマン、ヘルミ・クーシなどによる絵画や彫刻、ドローイング作品など約150点が鑑賞できます。

特に印象的だった画家のひとりはGunvor Grönvik(グンヴォール・グローンヴィーク)です。1930年にトゥルクで画家としての道を歩み始めた彼女は、親しい友人や家族、そしてヘルシンキの路上の風景を題材に絵を描きました。特にマンネルヘイム通りに面する自宅から見えるランドスケープは彼女の代表作となり、画家として広く知られるようになりましたが、救いようのない孤独と疎外感から自ら死を選んでそのキャリアに幕を閉じました。

もう一つの特別展である『VUOROPUHELUA(ダイアローグ)』展では、エリナ・ブラゼラスとハンネレ・ランタラという二人のアーティストによる、写真や詩、ビデオやパフォーマンスによる「対話」です。

二者の間にある長い友情をベースに、フィンランドの写真史上で忘れ去られた女性写真家や芸術家たちをテーマにし、そこから受け取る感情や生についての考察をアートという形で表現する対話は観る者に静かで強い衝撃を与えます。私が訪れたのは初日だったこともあり、アーティスト両者ともに展示を静かに鑑賞していて感慨深かったです。

文 : 吉田 みのり

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