冬のフィンランドの美味しい食べ物
冬のフィンランドは数か月の間、凍てつく大地が広がる。凍った海の上に分厚い雪が降り積もり、森へ足を踏み入れるのは至難の業。南フィンランドでも氷点下10度や氷点下20度の日々が続き、食べ物の種類は大いに狭まる。しかしそんな冬にも、いや冬だからこそ、美味しい食べ物もあるのがせめてもの救いだ。
フィンランドの冬季の旬の野菜といえばやっぱり根菜。イェルサレム・アーティチョーク(キクイモ)、かぶ、セルリアック、人参、ルタバガ(スウェーデンかぶ)、ブラック・サルシファイ(キバナバラモンジン)など、大地の養分をしっかり吸った、甘くてこってりとした味わいの野菜がとても美味しい。一番簡単なのはオリーブオイルや塩やハーブを軽くまとわせてオーブンでローストする食べ方。その他には、スープにしたり、柔らかく調理したあとにミキサーにかけてソースやクリームにしたり、デザートに使ったりもする。
フィンランドに住んでから日常生活でよく使うようになった根菜のひとつがコールラビ(フィンランド語ではkyssäkaali、キュッサカーリ)。
キャベツの芯のような味わいと食感で、和食や中華、洋食など色々な料理に使える存在だ。
冬は柑橘類も美味しい季節。フィンランド産ではないけれど、この時期出回るのがブラッドオレンジ。ヘルシンキのレストランでは、ブラッドオレンジのリゾットやパスタなどが冬になると登場する。こちらは家で作ったブランドオレンジのラビオリ。
冷たい海で身が良く引き締まった魚がとても美味しいのも冬。パイクパーチやベンダンス(淡水の小さい白身魚)、そして冬に繁殖期を迎えるタラの仲間の淡水魚、カワメンタイなど。この時期にヘルシンキのレストランを訪れると、カワメンタイ料理が食べられる機会に恵まれる。ムースやポテトパンケーキ、グリルしたものなど。冬の醍醐味、カワメンタイにあり。
私たちもカワメンタイを使って、なんちゃってあん肝や明太子、白身魚のフライサンドなんかを作ったりする。くせのないふわふわの身がとっても美味しい。梅干しで作った梅ペーストがアクセント。
四季があって、旬の食べ物があるのはフィンランドも同じ。不毛の土地のように見えて、実は寒い冬にも豊かさはちゃんとそこにあるのです。
文 : 吉田 みのり
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