ヘルシンキの歴史や現在を学べる入場無料の美術館「ヘルシンキ市美術館」

北欧 フィンランドからの手紙

ヘルシンキの過去・現在・未来を真っ向から考えられる機会を持てるヘルシンキ市美術館、おすすめです。楽しい展覧会がいつも開催されているし、入場無料なので時間が空いた時や近くを通りかかる時は頻繁に立ち寄っています。最上階では毎回異なる特別展が企画されているのですが、今回開催されていたのはヘルシンキの隣国、エストニアのタリンがテーマの興味深いエキシビションでした。

タリンはヘルシンキっ子にとって最も人気で最寄りの観光地です。船で2時間、その距離はたったの90㎞あまり。歴史を通してヘルシンキとタリンの交流は続いていましたが、その交流が静かな時期もありました。そして80年代以降、政情が明るい方向に変わってからはヘルシンキからタリンへの交通が盛んになり、フィンランドの多くの人が気軽に訪れる行楽の地となりました。楽しい思い出、宝物のように大切な思い出、ちょっと思い出すと恥ずかしい思い出…。旅を振り返りながらタリンにまつわる思いをシェアする人々の手記を読んだり、80年代の写真を見たり。タリンにまた行きたくなるような時間でした。

私が大好きなのは常設展の一つ「Helsinki Bites」です。1920年代のヘルシンキの街角を再現したインスタレーションや、50年代の一般市民の部屋の再現、30年代の荒れた街で起こった未解決時間や犯罪、火災などの写真の展示や、70年代のバーの再現などを見ることができます。

この階が好きで好きで、ついつい立ち寄ってしまうのです。他にも「タイムマシン」や子どもが学びながら楽しめるコーナーもあり、美術館にはカフェやショップも併設されています。機会があればぜひ足を運んでください。

文 : 吉田 みのり

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