『フィンランドで缶やペットボトル、瓶をゴミ箱に捨てない理由。市民が能動的にリサイクルするシステム「Pantti(パンッティ)」』

北欧 フィンランドからの手紙

フィンランドの街には空き瓶や空き缶、空きペットボトルが落ちていない。これはPantti(パンッティ)というシステムによるものが大きい。Panttiとは、デポジット(預金)のこと。ビールやジュース、水などの飲料が入っていた空き瓶や空き缶、ペットボトルをスーパーマーケットなどに設置してある専用回収機に投入すると、1本につき10〜30セントの金券が発行される。金券はそのスーパーマーケットや系列店で金券として使うことができるし、レジに行ってその場で現金に換金してもらうこともできる。

こんな風に、缶の裏側に料金が表示されている。

以上のことが理由で、フィンランドではビールやジュースの空き缶やペットボトルはゴミ箱に捨てないで溜めておくのが一般的だ。しかし呑み助は、ぼけっとしているとあっという間にこんな風に大きな袋いっぱいになってしまうので注意。でも空き缶を集めただけなのに10ユーロなどの金額が戻ってくるとちょっと得した気持ちになるのでついついワクワクして回収機に向かう。

ちゃんと専用回収機まで持って行けばお金が戻ってくるので大抵の人はポイ捨てしないし、たとえ捨てたとしても小銭を稼ぎたい人が道端で必ず拾うので、結果的に空き缶などのゴミはゼロとなる。市民が主体となってリサイクルに参加する、一人一人にあまり負担がかからないシステムだと思う。

夏場など、公園や海辺などでピクニックをしていると、缶集めを生業にしている人々がわらわらと集まってきて、空き缶や空き瓶を求めてくるので、基本的に重い空き瓶などを持ち歩く必要がないのも良い。しかし中にはまだ飲んでいるのに缶を持って行っていいかと聞いてくる人もいて、その人たちに「まだ中身が残ってるから後でね」と言うのがちょっと面倒だったりもする。

ヘルシンキ以外ではどうか分からないけれど、もし野外で空き缶やペットボトルなどを(家に持って帰ったり専用回収機に持って行ったりしたくなくて)公園などの公共のゴミ箱に捨てる場合は、ゴミ箱の中に入れるのではなく、ゴミ箱の上や横などに置いておいておく行為もよく見かける。集める人がわざわざゴミ箱の中を漁らなくてもさらっと取っていけるようにという心遣いだ。こちらに引っ越した時に友達などはみなこうしていたので、私もそうするようにしている。そういえば、私が小学生くらいの頃の東京では、空き瓶を酒屋に持って行くとお金もらえたけど、今もそうなのかな。仮に日本で、ペットボトルや缶飲料などの飲み物が今より10円値上がりする代わりに、空の容器を専用回収機に持って行ったら10円戻ってくるシステムを導入したら、どのようになるかなと想像してみたりする。



写真・文 : 吉田 みのり

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