『パスタから伝わる愛もある』

北欧 フィンランドからの手紙

私のTwitterInstagramなどを見てくれている人はもう知っていると思うが、夫のベンヤミンはパスタのプロだ。

2015年、ヘルシンキに引っ越して最初に働いたレストランは毎日予約満席の人気店でパスタ担当だった彼は、ひと晩で400皿のパスタを数年にわたって作り続けていた。その後、スー・シェフとなり、ヘッドシェフとなり、そしてヘルシンキのイタリアンレストランでパスタ担当になったのが去年の2020年の2月のこと。それからも、パンデミックでレストランが営業停止になっている間以外は、つねにパスタを作ってきた。

仕事でも毎日何百人分とパスタを作っているはずなのだが、私がなんせパスタ好きなもので、飽きもせず家でもパスタを作ってくれる。

海老とチェリートマトとたんぽぽの塩漬けのスパゲッティーニ

チキン、チェリートマト、大葉のアーリオオーリオスパゲッティーニ 

夏になると毎年作ってくれる花のパスタ。手打ちのパッパルデッレにハーブや花(ぜんぶ庭で採れたもの)、バターと温泉卵のソースをからめて食べる。

夫いわく、「人は昔も今も、好きな人へ愛を伝えたくて花束を贈るでしょう。ぼくはこのパスタにきみへの愛を込めてるよ」。

仕事に行く前にも、出かける直前ぎりぎりまでパスタを作ってくれる。

ピエモンテのラビオリ、Agnolotti del Plin(アグノロッティ・デル・プリン)

春菊のペストと無花果のパスタ。パスタの名前はカラメッレ(キャンディー)。最後にかけるのは蜂蜜とレモンゼスト!遊びに来てくれた友達と悶絶しながら食べた。こんなに素敵な料理を毎日作ってくれる人と暮らしているわたしは幸せ者だ…

小麦粉を打って作ってくれるパスタも、「冷蔵庫の残りで作るテキトーなパスタ」もすごく美味しい。

ハーブソーセージとモホベルデ(カナリア諸島の「緑のソース」)、たっぷりトマト、ペコリーノチーズ。

家に食材が全然なかった時(そんな日もある)に作ってくれたサバイバルパスタ。

玉ねぎをバターでとろとろになるまで炒めて、冷蔵庫にあったチーズのかけらと生クリームを加えて、ちょっと煮詰めて、オイルサーディンを加えて茹でたパスタに絡ませる。玉ねぎの甘さがたまらない。 

愛の伝え方は人それぞれ。夫の場合は料理、特に肉料理とパスタで伝えてくれる。彼と出会って、たった8カ月で12キロも太ってしまったけれど(そして今も戻らず)、これからも愛がたくさんこもったパスタを食べられるなら、あまり文句は言えないね。



写真・文 : 吉田 みのり

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