『野いちごを摘みながらゆっくりお散歩』

北欧 フィンランドからの手紙

海辺に散歩に行ったら、野いちごの花がたくさん咲いていました。

フィンランドに移り住むようになるまでは買うのが当たり前で、そこら辺に生えているものだという認識がなかったものの一つが野いちご(木苺)です。

旬の時期に少し自然の多い場所に行くと道端や庭でたくさん見つかります。たっぷり日差しを浴びた野いちごは普通のいちごより甘くて、香りも高く、ビタミンもたっぷり。静寂の中に鳥の鳴き声だけがこだまする、木漏れ日が射す森でゆっくり歩きながら野いちごを摘む時間がとても好きです。

SNSなどに載せると毎回のように日本の人からは「蛇いちご食べるの!?」と聞かれることも多いのですが、野いちごはいわゆるいちごの元祖で、石器時代から伝わる植物。たくさん摘んで森の散歩のおやつにしたり、タルトを作ったりします。葉をお茶にする文化も国々にあるそう。

森に足を運ぶと、森の中の空気の綺麗さや良い香りに気づき、驚きます。ヘルシンキの空気は世界の首都の中で一番清浄なものというランキングを以前見かけましたが、それでも街から離れてみると、さらに空気の綺麗さが増します。

木々の匂いが身体に染み渡らせて。

地球に生きている。生かされている。

自然に囲まれているうちに、今まで頭を悩ませえていたごちゃごちゃしたものがすっと消えます。花も草も色々な形をしていて、どれもオリジナルでとっても味がある。そんなちっぽけでざっくばらんな観察をしながら半日を過ごしてみるのもたまには良いものです。

写真・文 : 吉田 みのり

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