『ヘルシンキで気軽に食べられる野草④ヤナギラン』
アカバナ科ヤナギランはヨーロッパ・アジア・北アメリカなど北半球に広く分布する草原の植物です。英語ではFire weed、フィンランド語ではMaitohorsmaと呼ばれ、南ポフヤンマー県の県花にもなっているこの植物は、花を食べることもできますが、春のはじめ、生え始めの茎は「野生のアスパラガス」と呼ばれるほどの美味しい野草。
初めて食べたのはヘルシンキにあるレストラン「Atelje finne」で、食べた瞬間にその美味しさに開眼しました。レモンとバター、生姜で茎を炒めていて空芯菜みたいな食感が特に魅力的でした。
それ以来ヤナギランを使った料理を何度も作りました。5月初旬から中旬にかけて芽が生え茎が育ち、6月の終わりごろには背丈1mから1.5mくらいにもなり、鮮やかなピンク色の花を咲かせます。そんなヤナギランは3つのパーツに分けて食べます。茎と葉は炒めて美味しく、花は生で、またはシロップにしたりします。蕾は酢に漬けてピクルスにします。
ヤナギランと水牛のモッツァレラチーズ
ヤナギランの茎をタラゴンとアンチョビでソテー。丸いのは去年ピクルスにした、熟す前のカシスです。
ヤナギランの草のソテーと乾燥させた卵黄の粉、イワミツバとコミヤマカタバミのリース、黒スグリの葉のマヨネーズ
花を咲かせたらサラダに入れたり、クッキーに使ったりして食べます。
天麩羅にしても美味しいので、先週のポップアップ居酒屋ではヤナギランの天麩羅もお客様に提供しました。日本の春の山菜同様、柔らかいえぐ味は油との相性がとても良いのです。春のごちそうを逃すまいと春と夏は外食の機会が一気に減り、野草ばかり食べてしまいます。
写真・文 : 吉田 みのり
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