#05:リーサの展覧会
先日、いくつかの美術館が再開館した、というお話をしましたが、グスタフスベリにある陶磁器博物館もついにオープンしました。ついについに、です。というのは実は2017年から改装作業につき閉館をしていたのですが、2020年2月の再オープンを予定していたものの、ご存知の通りパンデミック対策でまたも閉館。そしてようやく(入場者制限などもありつつですが)再々オープンとなったわけです。
すこしだけ博物館の紹介をしておきましょう。グスタフスベリ陶磁器博物館はストックホルム郊外グスタフスベリを陶磁器の街にした、グスタフスベリ製陶所の歴史をあつかった博物館です。1825年から1993年までの170年間の磁器製造にまつわる物収蔵品数は45,000点以上にものぼります。リニューアル後の2018年以降は国立博物館が管理しています。
さて、そのリニューアルオープン、第一弾の特別展は「Lisa Larson」展です。展覧会の説明文ではこう説明されていました。
” Lisa Larson är kanske Sveriges mest kända keramiker och hennes figuriner är säkert de mest folkkära. Hennes adventsbarn och katter pryder många hem.”
リーサ・ラーションは、おそらくスウェーデンで最も有名な陶芸家であり、彼女のフィギュアは間違いなく最も人々に愛された作品です。彼女のアドベントの子供たちや猫たちは、今も多くの家を飾っています。
おそらく、と前置きはしていますが、最も有名な陶芸家のひとり、ではなく、最も有名な、と言い切っている説明、僕は初めて見た気がします。日本を始め他国でもファンを増やす中、リーサのスウェーデン国内での評価もどんどん変わってきているのでしょう。彼女のキャリアの半分を過ごしたグスタフスベリで、リニューアル第一弾の特別展がリーサの回顧展、というのがそれを物語っています。
展覧会はライオンがお出迎え(ということで本稿トビラ写真は一点ものライオンにしてみました)。
展覧会はリーサがグスタフスベリの磁器工場で働いていた時期(1954〜1980年)のものを中心に約200点の作品で構成されています。回顧展ではありますが、時系列ではなくテーマ別に作品が紹介され、彼女のインスピレーションの源や創作において大事にしていたことなどが垣間見られる展示になっていました。
ご存知、動物シリーズ。
なかなか目にすることができない一点ものの展示も。
大事な主題の一つ、家族。自画像ではないのかもしれませんが、僕にはどうしてもリーサ本人に見えてしまう。
さて、博物館を後にして、ランチの場所へ。同じくグスタフスベリにあるワッフル屋さん「Våffelmarkeriet(ヴォッフェルマルケリーエット)」です。
このお店、僕が足しげく通う理由はワッフルの美味しさだけではありません。実は赤十字のセカンドハンドショップが併設されていて、一昔前のどなたかのお家に招かれたような雰囲気がまたいい。
入り口をくぐるとこんな刺繍が。「旅行もいいけど、やっぱ家が一番」これも売り物です。
店内はこんな感じ。コーヒーとワッフルが焼ける匂いもまた心地よし。
あいにく今は混雑しないよう店内の席数も減らしていて、いつきてもお気に入りの暖炉の前の席でゆっくりと、というわけにはいきません。今回は、ちょっと肌寒かったですが中庭に席を取りました。頼んだのはフレンチ風ポテトサラダとスモークサーモンのワッフル。
デザートワッフルはバナナ&チョコ! でも写真を撮り忘れました。
さて、暦的な内容もご紹介しておきましょう。
スウェーデンでは車のタイヤ交換が義務付けられています。具体的には12月1日から3月31日までの期間冬用タイヤを使用しなければなりません(ややこしいですがスタッドレスタイヤはもう少し幅が広く10月1日~4月15日の期間、使用が可能です)。一方で、4月16日から9月30日までの期間、スタッドレスタイヤ(および冬タイヤ)の使用が禁止され、夏(通常)タイヤを使用しなくてはなりません(もちろん雪が降る場所はその限りではありません。僕がいたキールナでは8月末に初雪があったことも!)。4月になるとショッピングセンターの駐車場などには仮設のタイヤ交換サービスが姿をあらわします。僕は今までは結構自分でタイヤ交換をしていたのですが、なんだか最近は面倒くさがりで、ご近所の整備士さんにおねがいしてしまっています。
息子は、冬タイヤのホイールよりも夏タイヤのホイールがお気に入りなので、交換に満足。
こうしてひとつひとつ、季節の変わり目のやらなくてはいけない事柄に、線を引いて消しこんでいくたびに、ああ春がきたなあ、と思ったりします。暖かい季節、たのしみだなあ。
ではでは、このへんで。
Take care. Noritake
写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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