#13  ブルーベリーのブルー

スウェーデン ABCブック

7月も3週目。自宅の庭でも散歩の道端でもブルーベリーの実が目につくようになりました。今年の夏は雨が少なくて、うちの集落ふくめ広範囲で焚き火禁止、水道水での水やり禁止が発令中です。たぶんだけど、これってブルーベリーには良くなかったはず。あの子たちは水が大好きだったはず。確かにいくぶん今年のは粒が小さい気がします。 

スウェーデンに自生するブルーベリーこれは庭の子たち 

ともかく、そろそろブルーベリーが摘みたいね、ということで息子と近くの森に行ってきました。なんたるほのぼの感、と思うでしょうか。最初に言ってしまうと滞在時間はわずか20分ほど。「かえりたい」という息子、「これだけじゃジャムつくっておわりだよ」という父、「あつい」という息子、「パイを作る分がないよ」という父、「またこんどにする」という息子。そう話は簡単ではありません。 

彼はこれぐらいで。よく頑張りました。。。 

スウェーデン語には「Blåbärsgranskog(ブローバーシュグラーンスコーグ)」という言葉あります。直訳するとブルーベリーのヨーロッパトウヒ(※)の森。その両方が生息するスウェーデン(だけでなく北ヨーロッパ)における典型的な森の一つで国土の約17%を占めると言われています。

地面を覆うようにしげるブルーベリー。膝丈以下の低木で果実は小粒。 

※ 同じマツ科のモミ(モミ属)に似ていて、クリスマスツリーとしてもよく使われますが、こちらはトウヒ属。別種です。材木に強い人だとスプルースというとわかりやすいかもしれません。 

さて、採ったブルーベリーはすぐジャムにしましょう(たくさんたくさん採れると冷凍したりしますが)。保存や見栄えを考えれば、それに合わせたきちんとしたレシピがおすすめですが、あっという間に食べ終わってしまう量ですし、ほとんど何も気にせず、僕がやることは以下の手順だけ。 

洗う。葉っぱなどのゴミ取り。ちょっとついている茎などは気にせず。 

砂糖を適当に。隠し味に今回はバニラビーンズの粉。カルダモンでもよし。 

それを数時間放置。浸透圧で液体が出てきたら火にかけます。 

実の形が残っているぐらいが好み。まださらさらだな、という状態でも冷えるとそれなりにまとまります。 

煮沸消毒した瓶(どうせ数日で食べ終わるけど)に入れて完成。なんでこんなにうまいんだろうか。

そうそう、どうしてブルーベリーっていうのかと思ったことありませんか。摘んでいるときの指先は赤紫。火にかけている時の木べらも美しい紫色にそまるのに。 

けれど、この木べら、洗いを重ねてこなれてくるととても美しいブルーになってくるんです。ふと、小学校の時ツユクサでつくった色を思い出しました。 

今回はこの辺で。 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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