#24 ロイ・アンデションを知っていますか

スウェーデン ABCブック

今回も前回に引き続き、ストックホルムで開催中のイベントのお話。スウェーデン映画界の巨匠、ロイ・アンデションの展覧会についてです。 

ロイ・アンデションはスウェーデンでは知らない人がいないほど有名な映画監督。なにしろスウェーデン映画ではじめてヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を獲得したのは、彼の2014年の作品「En duva satt på en gren och funderade på tillvaron(邦題:さよなら、人類)」でした。 

ロイ・アンデションは若い時に長編映画を2本撮ったあと、20年以上広告映像を主なフィールドとして活躍していましたが、2000年以降は長編映画を定期的に発表し、そのいずれもが高評価をえています。後に三部作として呼ばれる、 

「Sången från andra våningen(邦題:散歩する惑星)」(2000年) 
「Du levande(邦題:愛おしき隣人)」(2007年) 
「En duva satt på en gren och funderade på tillvaron」(2014年) 

に続き「Om det oändliga(邦題:ホモ・サピエンスの涙)」(2019年)が最新作となっています。 

こちらが入り口。建設中? 

会場内では、ロイ・アンデションの代名詞ともいえるジオラマをつかったスタジオ撮影の風景を実物を用いて展示するとともに、彼の作品の物語的な特徴、主題をテーマ別に分類し掘り下げていました。 

会場の風景をちょっとだけ。 

入り口から会場内を覗いたところ。

入るとすぐそこにはベッドルーム。部屋の奥のドアが僕が入ってきた入り口。こちら側から見ると別室があるように見えますが、1枚目の写真のとおりハリボテです。 

実際の撮影で使われたセットの再現だった、という仕掛け(というわけでさっきのベッドルームの写真はロイ・アンデション風に現像してみました)。こうしたものが他にもいくつか展示されています。

ストックホルム市内にあるロイ・アンデションの制作スタジオ、Studio 24のミニチュアジオラマ。こうしたアナログな手法をもちいて映画が作られているのが彼の作品の特徴。

スケッチなどの素材も展示されていました。 

ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した2019年公開の最新長編作「ホモ・サピエンスの涙(原題 Om det oändliga)」のポスター。 

こちらがその撮影で使われたジオラマ。

ついつい撮ったその窓の後ろに広がる実際のストックホルムの景色。こちらもロイ・アンデション風の現像。 

日本〜スウェーデン間の移動制限が緩和されるようですね。もしストックホルムにお越しの際、映画好きの方はぜひ、中央駅すぐそばの文化会館まで。2022年1月9日まで開催しています。 

おまけ 
「散歩する惑星」が日本で公開されたとき、なんだかやけにオシャレな映画がきたな、と思ったのを覚えています。トレイラーのコピーは「ジャック・タチ meets キューブリック」。それらがフューチャリスティックでかわいらしいポスター、そして「散歩する惑星」なんていうキラキラした題名でまるっとパッケージングされていたりして(配給会社の公式サイトはこちら)。ポスターやトレイラーの役割は、見る人の気をひいてなんぼ、というのを理解した上でですが、映画自体は全然そういう感じではない(いい意味で)ので、まだ観たことない人はぜひぜひ今週末にでもどうぞ。おすすめです。 

Take care. Noritake 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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