#02 アンチョビの缶詰

スウェーデン ABCブック

製造元:Abba 

内容量:55 g, 125 g, 450 g があります。 

価格:約25 kr(125 g缶) 

イギリス海峡やフェロー諸島、北海などで漁獲された上質なヨーロピアンスプラットをマリネした缶詰。製造はスウェーデン西海岸のクングスハムン。ナツメグやシナモンなどのハーブが効いた甘い味が特徴で、スウェーデンのクリスマスなどで食される定番料理<ヤンソン氏の誘惑>には欠かせない材料。 

ヤンソン氏の誘惑、という奇妙な名前のスウェーデン料理をご存知でしょうか。NHKの番組<世界は欲しいモノにあふれてる>のほか、いろいろな料理番組でも紹介されたことのある料理です。クリスマスでは決まってテーブルに並ぶ、ちょっぴりハレの日用のメニューなのですが、我が家では日常的に作ったりもします。理由は単に、作るのが簡単で美味しいから。 

というわけで、今回のスウェーデンのおみやげはヤンソン氏の誘惑に欠かせない材料、そして日本ではあまりお目にかかることのない(ですよね?)アンチョビの缶詰の紹介です。 

このアンチョビ、繰り返しますがものすごく大事です。はっきり言ってこれが味を決めます。これ以外の材料によって起こる味の変化はもう誤差の範囲(は言い過ぎとしても、好みの問題)です。特に大事なのはコレ(↓)。 

テーブルの上に置かれた靴

中程度の精度で自動的に生成された説明

この液体。これが全て。 

話は少し横道にそれますが、アンチョビというものの、スウェーデンで言うアンチョビ(Ansjovis)はいわゆる地中海諸国で食される(そして日本に入ってくる多くの)アンチョビとは使われる魚の種類も加工法もちがいます。前者はヨーロピアンスプラットと呼ばれるニシンの一種で、砂糖や各種香辛料でマリネしたものである一方、後者は塩漬け発酵のカタクチイワシをオリーブオイルで漬けたものです。ですので、ヤンソン氏の誘惑を日本でも一般的な地中海的アンチョビで作ると、美味しい美味しくない以前に、全く違うものになりますので要注意です。 

では材料の紹介です。サイドディッシュとして考えて6〜8人分の分量としてお考えください。 

トレイの上の食べ物

自動的に生成された説明

・ABBAのアンチョビ缶(125 g):1缶 

・玉ねぎ: 2〜3個 

・ジャガイモ(メークイーン系):1kg 

・生クリーム:4 dl 

・パン粉:2 dl 

・バター:100 g 

作り方は驚くほど簡単です。 

1)玉ねぎをスライスし(時間があれば)30 gぐらいのバターでしんなりするまで炒める。 

2)ジャガイモの皮をむき、1 cm角ぐらいの拍子木切りにする。 

3)深さ5 cmぐらいのオーブン用耐熱皿に20 gぐらいのバターをまんべんなく塗る。 

4)1/3の量のジャガイモ、1/2の量の玉ねぎ、1/3の量のアンチョビを順に器に投入(下の写真参照)。 

5)1/3の量のジャガイモ、残りの玉ねぎ、1/3の量のアンチョビを重ねる。 

6)再び、1/3の量のジャガイモ、1/3の量のアンチョビを重ねる。 

7)生クリーム、アンチョビ缶の液体を器に入れる。 

8)200度のオーブンで30分焼く。 

9)器を一度取り出し、パン粉をまんべんなく振りかける。 

10)その上にサイの目に切った残りのバターを散らす。 

11)再びオーブンに投入。15分ほど、焼き色がつくまで焼く。 

12)完成。 

ジャガイモ、玉ねぎ、アンチョビ重ねの第一段階はこんな感じ。 

ボウルの中にあるパスタ

自動的に生成された説明

こちらが完成品。 

皿の上の食べ物

自動的に生成された説明

上記の通り、味の調整は缶の液体とバターのみ。もちろんお好みで黒胡椒を入れたり、ニンニクを足したりする人もいます。 

時間がない人は、下処理として茹でたジャガイモを使う手もありますが、個人的には生からオーブンに入れたほうが格段においしいと思います。茹でジャガイモは水を含むのか、でんぷんが逃げるのか、全体的にぼやっとした味になる気が。 

そうそう、上記は日本人用に合わせたレシピで、本来はもう少し濃い味が一般的。アンチョビ缶を1.5缶ぐらいが適量でしょうか。 

もう本当に失敗しようがない料理ですので、是非おみやげにアンチョビ缶をどうぞ。 

<お買い求め先> 

ほぼ、どこの街のどこのスーパーマーケットでも購入可能です。ただし、保存は8度以下の場所となっているので(僕はあまり気にしませんが)帰国日ギリギリに購入し、預け入れスーツケースに入れるのがおすすめです。 

Take care. Noritake


 

写真・文:アケチノリタケ
スウェーデン生活は、2007年の北極圏のキルナで、極夜のなか幕開け。月日は流れ、今はストックホルム郊外の群島地域で家族3人の生活です。クラフト、デザイン、ライフスタイルの分野を中心に、日本とスウェーデンの架け橋になるような活動をしています。互いの文化の同じ/違うところにふれながら、自分の輪郭がぼやけていくのを楽しむ日々です。
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https://www.instagram.com/aurora.note/

 

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