大人の「上手な断り方」アサーションでWin-Winな関係を目指そう
余裕がないときに仕事を頼まれることってありますよね。「嫌だな……」と感じても、今後の関係を考えると簡単には断りづらいものです。だからといって相手の都合にばかり合わせていては、いずれ心身ともに疲れ果ててしまうかもしれません。
そこでオススメなのが、“アサーション”を使う方法。相手の機嫌を損ねることなく言いにくい内容を伝えたいときは、この技法がきっと役立つハズです。
今日は、大人が身に付けるべき上手な断り方を3つのステップでご紹介します。「無理なときは我慢せずに断りたい」と思う人は、ぜひこの記事を参考に実践してみてください。
目次
仕事を上手に断りたいならアサーションを活用してみよう
冒頭でもお伝えしたように、相手との関係を壊すことなく仕事を断りたいときは“アサーション”の活用がオススメです。
アサーションとは、相手を尊重しながら自分の意見も主張するコミュニケーションのこと。アサーションの考え方では、私たちの自己表現は3つのタイプに分かれるといわれています(※1)。
その3つが、こちら。
1.ノン・アサーティブ:非主張的
(自分を後回しにして相手の主張に従う)
▶「私はOKでない、あなたはOK」
2.アグレッシブ:攻撃的
(自分の主張を一方的に押し通す)
▶「私はOK、あなたはOKでない」
3.アサーティブ:自他尊重的
(相手を尊重しながら自分の意見も主張する)
▶「私もOK、あなたもOK」
仕事を断るのが苦手な人は(1)の“ノン・アサーティブ”な自己表現をしがちです。「断ったら相手が気を悪くするかも」と考えるため、意に反して相手の主張を受け入れてしまいます。
そこで目指したいのが(3)の“アサーティブ”な自己表現。この方法ならお互いが納得のいく結論を出せるため、どちらか一方が嫌な思いをすることはありません。
では、上手な断り方を身に付けるにはアサーションをどう活用すればよいのでしょうか?
アサーションを活用して上手に断ろう!ポイントは「3つのステップ」
何かを断るときは、アサーションを3つのステップに分けて実践するのがオススメです。関係を壊すことなく上手に断りたい人は、ぜひ1つ目のステップから順に取り組んでみてください。
ステップ1.自分の置かれている状況を客観的に伝える
アサーションを活用するなら、まず相手に伝えたいのが自分の置かれている状況です。
仕事を上手に断るには、自分が今どのような状況にあるのかを相手に正しく理解してもらう必要があります。そのためには、事実のみを客観的に伝えることが大切です。
例えば、上司から「明日の13時までに資料を仕上げてほしい」と頼まれたとしますよね。そのときに、もし他に抱えている仕事があるなら「実は今、急ぎの仕事をいくつか抱えています」と正直に伝えるのです。
そうすれば、上司はあなたが置かれている状況を理解しやすくなります。
ここで注意したいのが、個人的な感情は挟まないこと。「急ぎの仕事がたくさんあって大変なんです」と伝えると一気に言い訳がましくなってしまい、結果として相手の機嫌を損ねてしまうことにもなりかねません。
アサーションの第一歩は、お互いの置かれている状況を正しく理解し合うことです。仕事を上手に断りたいときは、ぜひあなたの状況を正直に伝えてみてください。
ステップ2.「クッション言葉」+「断る理由」を伝える
自分の置かれている状況を相手に伝えたら、次は断る理由を伝える段階です。
ただ、ダイレクトに断る理由を伝えてしまうと相手に冷たい印象を与える可能性があります。
そこで活用したいのが、クッション言葉です。クッション言葉には、キツイ印象になりがちなセリフを和らげる役割があります。
仕事を断る際に使うクッション言葉といえば、代表的なものが次の5つです。
・申し訳ありませんが
・せっかくですが
・残念ですが
・あいにくですが
・ありがたいお話ですが
断る理由の前にクッション言葉を置くだけで、相手が受けるショックを緩和できます。
また、断ることへの精神的な負担を減らせる点もクッション言葉を使うメリットです。
例えば、急な仕事の依頼を断る場合は
「申し訳ありませんが、別の仕事を抱えているため本日の対応は難しそうです」 |
といった伝え方をすると印象が和らぎます。
もしも仕事を受けたいにもかかわらず仕方なく断るなら「ありがたいお話ですが」というクッション言葉を使うとよいでしょう。この伝え方をすると、依頼をしてくれたことに対する感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
ポイントは、断る理由を簡潔に述べること。説明が長くなればなるほど、説得力に欠けます。
また、ウソの理由で断るのもNGです。何かの拍子でウソがバレれば、自分の信用を失ってしまいます。
アサーションを使う上で最も重要なのは、お互いが納得できること。だからこそ、仕事を断る際はクッション言葉と理由をセットで伝える方法がオススメです。
誠意の伝わる断り方をすれば、相手もきっと「それなら仕方ない」と納得してくれるハズですよ。
ステップ3.代わりの案を具体的に示す
理由を伝えたら、最後は代わりの案を具体的に示します。
断る相手と今後も良い関係を保ちたいなら、最後にプラスアルファの言葉を添えるのがベターです。逆に「できません」や「行けません」などの言葉で会話を終わらせてしまうと、相手にそっけない印象を与えかねません。
そこでオススメなのが、代わりの案を提示すること。
例えば「明日の午後からであれば取り掛かれますが、いかがでしょう?」といった具合に、可能な範囲で代わりの案を示してみてください。そうすると「本当は断りたくないのよ」という気持ちを相手に伝えられます。
また代案を示すことで相手に寄り添う姿勢も同時に示せるため、この方法なら断りながらも好印象を与えられるハズです。
ただし、今後も依頼や誘いを受けたくないなら無理に代わりの案を用意する必要はありません。かたくなに断り続けることは、自分の気持ちを相手に示す方法でもあります。
アサーションの基本は、相手だけでなく自分も大切にすることです。代わりの案を提案するかどうかは、自分の気持ちと相談しながら考えてみてくださいね。
上手に断りたければ「相手」と「自分」どちらの気持ちも大切にしよう
相手に対して「申し訳ないな」と思いながら断る状況は、とても心苦しいものです。しかし断れない日々が続くと、いつの日かストレスが爆発してしまうかもしれません。そんな事態を避けるためにも、仕事を断る際はアサーションをぜひ活用してみてください。
幸せな人生を送りたいなら、時には断る勇気も必要です。断る理由をしっかりと伝えつつ、相手に誠意を示す。これが仕事を上手に断るコツです。今回ご紹介したステップを取り入れれば、きっとお互いの気持ちを尊重できる人になれますよ。
執筆:山本 洋子
編集・監修:永瀬 なみ(心理カウンセラー)
【参考元】
(※1)『マンガでやさしくわかるアサーション』平木 典子 著(日本能率協会マネジメントセンター)
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