『ひつじに出会える小さな島、ランマスサーリ』

北欧 フィンランドからの手紙

首都にいながら自然を楽しめるのがヘルシンキの良いところ。よく散策に出かける場所の一つは、ひつじがいる離れ小島・ランマスサーリ(Lammassaari)。ランマス(lammas)はひつじ、サーリ(saari)は島という意味なので、名前はそのまま、ひつじ島。

海に浮かぶ小島でありながら、ヘルシンキ中央駅からそのままトラムやバスに乗って島の入り口まで20分ほどで行けるほどアクセスが良いので、お弁当をこしらえて散歩しに来たり、ピクニックの場に使ったりしている。

自然保護地区になっているので広大な森もあるし、美しい鳥(バードウォッチングに最適)や動物もいるし、海もある。島と島をつなぐ遊歩道は3~4kmと歩きやすい長さなので、日本や遠くの都市に住むから来た友達を連れて行くこともよくある。ゆっくりお散歩しながらいろいろな話に花が咲き、自然の中でひと息ついたあとに「身体の空気が全部入れ替わった!」と言う友達の笑顔が見られるのも嬉しい。

ランマスサーリでよく採取するのはruoholaukka(英語:chives、仏語:ciboulette、日本語:セイヨウアサツキ、エゾネギ)の花。自分たちも育ててるけど、海沿いに野生で生えているものを見つけるととっても嬉しい。小葱なので茎も花もネギの味。これを使った料理はかくべつに美味しいのです。

仕事で疲れた週末も、こうして自然に癒されに来る。黄金色に輝くアシの草原とどこまでも青く広がる空は何度見ても息をのむ光景。しばらく歩くとびっくりするほど効果てきめん。

夕飯用に美味しい野草のムラサキベンケイソウを採ったりもする。

ひつじに会えたらラッキー。かわいいけど怖がらせたくないのでそっとしておいてあげよう。

春のはじめは雪解けで足元がぐちゃぐちゃなので長靴必須だし、海に囲まれていて風が冷たくてとてものんびりとしていられないけれど、春の終わりから夏にかけての心地よい時期は、ここで読書して幸福な午後を過ごしたりもできる。今向かって歩いている未来に、希望が見えてくる。そんな光を与えてくれる場所。

写真・文 : 吉田 みのり

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