『アーティストの集まるコミュニティ、フィスカルス村へ』
ヘルシンキから西へ車で行くこと90分、アーティストたちのコミュニティであるフィスカルス村は17世紀に製鉄の村として栄えました。現在では200ものアーティストや職人が暮らす、フィンランドで最もクリエイティブでかつ自然に溢れた地の一つとして知られています。
フィスカルス社といえばオレンジ色の持ち手がトレードマークのあのハサミを思い浮かべる人も多いと思います。フィンランドの家庭ではハサミのほか、包丁やフライパン、フォークやナイフ、そして園芸用のシャベルや斧などもよく見かけ、国民の生活に定着している道具を生み続けている企業として広く愛され続けています。現在フィスカルス社は他の場所に移転しましたが、村には昔ながらの鍛冶屋が残っており、またフィスカルスの歴史を学べるミュージアムなどもあります。
17世紀に製鉄所が作られてから始まったフィスカルスの精神は、そこに集まって住む芸術家や職人たちに脈々と受け継がれています。ギャラリーショップではジュエリーや食器、キャンドルなど、美しくクリエイティビティに溢れたフィスカルスのアーティストの作品を購入したり、またアーティストの仕事場に訪れて実際の製作過程を見学することもできます。
この日は アンティークショップ兼本屋兼カフェの「Cafe Antique」で、ちょっと休憩。
何気ないクロワッサンとチーズと野菜のサンドイッチだけど、フィンランドならではの味で落ち着くのです。
面白そうな本も購入しました!1910年のベジタリアン料理の本。
日帰りでも行けるけれど、夏は一泊して小旅行も良いです。村の中にはホテルやレストラン、可愛いB&Bなどがあり、朝日に包まれた自然いっぱいの中で鳥の声を聞きながら耳にすると「生きててよかったな」と思えるほどの清々しい気持ちになれます。(その後ハンコやタンミサーリ、ビルネスやマチルデダールなど村へと旅を続けるととっても楽しいです!)
友達のキーアもフィスカルスに住みながら地元で採れる野菜を使った漬物やキムチを作って販売しています。商品はヘルシンキのMUJI(無印)で買うことができます。
また地元で採れるジュニパーベリーやオウシュウトウヒの若芽を使って作るクラフトビールが楽しめるブリューワリー「Fiskarsin Panimo」、フィンランドでは珍しいワイナリー「Noita Winery」、ジンやアクアヴィットなどを作る「Ägräs Distillery」など、酒造も盛り上がっています。
初めて訪れたのは8年ほど前、フィンランド政府観光局の仕事で写真撮影をコーディネートした時です(自分が写ってる写真が今も旅行冊子に使われたりして複雑な思いもあります)。それから幾度となくこの地を訪れ、その度に魅力のとりこになってきました。伝統と革新が心地よく混在する、居心地の良い村です。ぜひ、夏に出かけてみてください。
写真・文 : 吉田 みのり
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