『日本とどこが違うの?フィンランドの夏休み』
日本の義務教育の夏休みといえば7月中旬から8月いっぱいというのが一般的ですが、フィンランドの夏休みの時期は少し違って6月から8月はじめ、または半ばまで。8月に入るともう、「新学期が始まる」という意識に切り替わります。大学や専門学校の入学式も8月半ばなので、8月というと「夏真っ盛りの夏休み!」というよりは、「新しい生活の始まり」というイメージが強いです。
学生の夏休みは5月末か6月はじめから8月中旬ぐらいまでの2ヶ月半くらいですが、企業の夏休みはというと、だいたいの場合で6月から9月の間に4週間の夏休みが義務づけられています。4週間連続で夏休みを取得する人もいれば、7月に3週間休んで、9月に1週間休む、というように二つに分けて夏休みを取得する人もいて、個人や企業のスケジュールによってそれぞれという感じです。共通した感覚としてあるのは、「夏休みなどの休暇の間は仕事を一切しない」という暗黙のルールです。しっかり休んでいる期間は、子ども心に戻るようにしっかり遊ぶ。森に散策に行ったり、海や川でスポーツをしたり、友達とパーティーをしたり。何週間も、今日が何曜日かを忘れてしまうくらいに余暇に没頭することで、仕事に戻った時に上手に切り替えてエネルギーいっぱいに集中できる、という理念をフィンランド人の多くが持っています。
夏休みの間は、kesämökki(ケサモッキ)と呼ばれるサマーコテージに行って数日または数週間を過ごします。大抵のサマーコテージは湖畔や海辺など、水に近いところに建てられ、サウナ小屋も併設されています。水や電気がないところもあれば、水も電気もあるコテージもあり、家族代々で受け継いだり、友達と共有したりと、それぞれのスタイルがありますが、過ごし方は皆同じ。
魚釣りをしたり、サップをしたり、自然の中で料理をしたり、ブルーベリーなどを摘んだり、泳いだり、読書をしたり…とにかくゆっくり、夏を楽しむこと。白夜の空の下、ワインを飲んだり、音楽を奏でたり、尽きないおしゃべりをして心ゆくまで人生を謳歌すること。そして口々にフィンランド人は「夏はやっぱり良いねぇ」「これぞ、人生だねぇ」「今日って何曜日だっけ?」「いいね、夏休みしてるね」なんて言って、喜びを分かち合うのです。
写真・文 : 吉田 みのり
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