『2021年、猛暑の夏の最後の日』

北欧 フィンランドからの手紙

30℃超えの南フィンランド、暑いのはこの日が最後ということで、最後の海泳ぎに行ってきました。夏が来て、海や川で泳ぐのが大好きな夫のお姉さんが「夏の間に泳いだ場所を数えている」と言っていたので、私たちも数えてみたら10以上にものぼりました。川、湖、海…いくつもの場所で泳げた夏でした。

この日の天気予報では、翌日から一気に下がり、もう20℃を越える日はこないとのことでした。フィンランドの秋は、本当に突然やってきます。 雷をともなう冷たい雨が激しく数日降って、そうしたらあっという間に10度くらい落ちて気配がぐっと秋になります。フィンランドの夏は美しく儚い。嬉しいのは毎年、夏はやってくること。そう胸に言い聞かせて、寂しさをまぎらわせます。

この日の晩ごはんはベンヤミンのお父さんが80年代から作っているという、海老とバターの米料理でした。サラダはベンヤミンが庭で採れた野菜やベリー、花などで作った、慎ましやかだけど華やかなサラダ。「庭でゆっくり陽の光を浴びて晩ごはんを食べられるのも今夜が最後かもねー」と皆で話して、晩夏の美しい空気を身体いっぱいに感じました。

22時の庭。まだまだ夜も明るいですが、なんとなく緑に力がなくなってきて、鮮やかな花も少なくなってきました。やっぱりなんとなく、秋。

庭にたくさん実っているのは赤スグリ(punaherkka/röd vinbär)で、ヨーロッパでは古くからジャムや果実酒、料理など食用されてきたベリーです。光にあてるとまるで宝石ような美しい実で、そのままパクパク食べても良いし、チーズに合わせても美味しいです。

写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP