『秋いっぱいの南フィンランドの森へ』

北欧 フィンランドからの手紙

忙しい仕事の合間を縫って、一番好きなヘルシンキの紅葉スポットに今年も足を運ぶことができました。この場所はTöölöにあるのですが、2013年から毎秋通ってます。

その後、ヘルシンキから1時間ばかり東へ行ったところにある夫の実家へ。

夫の実家には週に1回は顔を出します。夫のご両親は引っ込み思案で、人付き合いを積極的にするタイプではないので、普段は森に囲まれた田舎でTVを観たり、新聞についてくるクロスワードパズルをしたり、読書をしたりしてかなり静かな日々を送っています。夏は庭仕事など屋外(といっても敷地内ですが)に出ることも多いですが、寒くて暗くなる9月からは冬眠するムーミンよろしく、ほぼ家を出ない暮らし、そしてほぼ訪問者がいない暮らしをしているため、私たち(子どもたち)が都会(ヘルシンキ)から訪ねてくるのが何よりの楽しみとばかり、いつもケーキを焼いたりスープを作ったりと心ばかりの準備をして待ってくれています。

もう南フィンランドは秋いっぱい。夫の実家の庭は紅葉や落ち葉で鮮やかに輝き、家の中にいても、窓からも黄金の光が絶え間なく入り続ける日々です。

「田舎で毎日特に変化があるわけでもないよ。なんてつまらない暮らしで恥ずかしい」とご両親は言うけれど、自然に包まれて暮らすということは時になんて絢爛とした暮らしだろう、とその力強さや美しさにしばしば圧倒されます。

庭で採れた野菜を使った料理や、おじさんが釣ってきたという魚を使った料理などを必ずご馳走してもらいます。

庭で採れた人参とキャベツのキャセロール。秋の根野菜は甘みがしっかりしてほくほくと美味しいです。

そしてやっぱり森へきのこ狩りへ。フィンランドに住む前は、「フィンランドの森や自然ってとても神秘的だな」なんて思ってましたが、これまでに数十回、もしかしたら100回以上森歩きをしてきたけど、やっぱり神秘的です。地元の人は高齢の人ばかりで森になかなか入らないので、毎回たくさんの美味しいきのこが見つかります。

ヘルシンキの家に戻ると、窓から入る黄金の光を浴びて猫のてんぷらが気持ちよさそうに寝ていました。うんうん、秋だねぇ。

文 : 吉田 みのり

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