『お茶ソムリエが自分にぴったりのお茶を選んでくれる、『耳をすませば』の地球屋のような雰囲気のティールーム「Ounce」へ』

北欧 フィンランドからの手紙

お茶専門のお店「Ounce」は、小さくて静かでちょっと不思議な、私のとっておきの休憩スポット。街の中心にあるのに穏やかで何世紀も前のヨーロッパ世界に来たかのような感覚になる、『耳をすませば』の地球屋のような雰囲気のティールーム兼ティーショップです。

好きなお茶のタイプや香りを告げると、お茶ソムリエの店員さんがこれはどう?とお茶の葉が入ったボトルを棚から取り出し、蓋を嗅がせてくれます。自宅用に買うこともできるし、そのまま席に座って美味しいお茶を楽しむこともできます。

お店に並んでいるお茶は紅茶、ホワイトティー、緑茶、コンブチャ、ハーブティー、フレーバーティーなど多種多様。お茶を淹れるための道具も買えるので、よく友達や家族へのプレゼントを求めに行きます。私が毎回のように頼むお茶はマンゴーやパッションフルーツが入ったものですが、Revuntulten Lumo(オーロラの魅惑)などの名前がまたドリーミーで好きです。

ある日のこと。お店の前を通り過ぎたら「今週のお茶」が店先に置いてありました。タダで飲めるしまだアツアツだし。この店のこういうところがとても好きです。消費社会の正反対を行くような、19世紀イギリス貴族の高貴さと責務を思い起こさせる時間の流れ方をしているような気がして。

自分にやさしくすることを、人はついつい忘れてしまうものです。目まぐるしく動く世界では、特別なことをしなくても一日はすぐに終わってしまいます。おいしいお茶を淹れて光の浴びる場所に座ってゆっくりすすったり、ラベンダー色のお風呂に浸かってぼんやりしたり、自分にやさしくできる時間を持つことは、とても贅沢で、また大事なことだと思います。立ち止まって、自分に向き合って。そんな時間を持てるのがこの場所です。

文 : 吉田 みのり

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