『クリスマスまでカウントダウン』

北欧 フィンランドからの手紙

一年のなかで、フィンランドで最も大切なイベントは夏至祭とクリスマスだとフィンランドの人々はよく言います。クリスマスは家族で集まって暖かく過ごすのが伝統的な慣わしです。11月後半になると、すでに街はクリスマスのムードが一気に高まり、人々はクリスマス料理の献立や家族や恋人に贈るプレゼントについて考え始めます。

私の暮らす首都ヘルシンキでは、毎年大聖堂の前の広場でクリスマスマーケット「Tuomaan Markkinat(トゥオマーン・マルッキナット)」が開催されたり、Aleksanterinkatu(アレクサンテリンカトゥ)が美しいイルミネーションに照らされます。

この通りは1949年から公式のクリスマスストリートに選ばれて以来、どことなくノスタルジックな光で12月の街を照らしています。1900年代まではキャンドルで灯りを添えるのがメインだったとか。その後イルミネーションに徐々に移り変わっていったそうですが、このライトは何十年も同じものを使っているそうです。長年のあいだ年長者が使ってきたものを受け継ぐのが好きだというフィンランドならではのエピソードですよね。

このAleksanterinkatuはクリスマスシーズンのオープニングセレモニーパレードや12月13日に開催される聖ルシア祭のパレードなど、この時期のヘルシンキの各イベントに欠かせないストリートの一つです。

12月は「pikkujoulut(ピックヨウル=小さいクリスマス)」と呼ばれる、日本でいうところの忘年会のようなパーティーが開催されるのが毎年恒例ですが、今年は新感染症拡大の防止のため見送る人が非常に多いと思います。またいつか、みんなで安全に集まってパーティーができる日がくることを信じて。


写真・文 : 吉田 みのり

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